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第1回新市場基本コンセプト懇談会議事録

日時:平成13年9月10日(火) 午後1時30分~ 会場:築地市場 東京都第4会議室

1.市場長挨拶

【事務局】では、大変お待たせいたしました。定刻でございますので、新市場の基本コンセプト懇談会を始めさせていただきたいと思います。 冒頭、私どもの中央卸売市場長から、皆様方にごあいさつを申し上げます。

【中央卸売市場長】中央卸売市場長の碇山でございます。委員の皆様、当新市場基本コンセプト懇談会の委員をご快諾いただきましてまことにありがとうございます。 さて、21世紀を迎えまして、卸売市場を取り巻く環境は、大きく変化しておるわけでございまして、中央卸売市場も、これまで以上にそのあり方が問われております。言われますように、ITなどによる流通革命、あるいはグローバルな環境問題、あるいは衛生対策などが、いやが上にも高まっておりまして、このような状況の中で、これまでの枠組み以上の市場の将来像を描いていくということが急務となっておるわけでございます。ご案内のとおり、当築地市場は著しく老朽化、狭隘化しております。石原知事が初めて、一昨年の9月1日になりますけれども、築地市場を視察した際、開口一番、狭い、危ない、古いというようなことを言っておりましたし、加えまして、場内を走り回っておりますターレーについても非常に時代錯誤であると、何とかしろと私に言われたんですが、そういうような意味で、築地市場の老朽化、狭隘化がどんどん進んでおるわけでございます。東京都は、首都圏の基幹市場でありますこの築地市場を移転によって再生し、時代の要請にかなった市場改革を進めていくことが不可欠と考え、この間、移転候補地の検討と市場用地の確保にあい努めてきたわけでございます。委員の皆さんも新聞紙上でご案内のとおりでございますが、その結果といたしまして、本年の7月、豊洲地区最大の地権者であります東京ガスと、築地市場の移転に伴う基本的事項について合意に達することができました。現在、これに基づきまして、都の関係各局と全力を挙げて取り組んでおります。他の地権者、東京ガス以外の地権者や、あるいは地元区との協議を鋭意進めておるわけでございます。このような経緯を踏まえまして、新市場づくりの準備に向けました第一歩としまして、このたび、本懇談会を設置することといたしました。新市場の建設に当たりましては、現在の築地市場の取引・物流を広い場所に移しかえるという差しかえ論ではなくて、これまでの築地市場を支えてきた仕組みを見直し、競争原理の一層の導入、あるいは川下からの発想、それから、さまざまな食の関連産業とのリンキング、いろいろあろうかと思います。幾つかの課題がありますけれども、これらのもろもろを検討いたしまして、新たな視点を取り入れた大胆な挑戦、市場改革が必要と考えておるわけでございます。 また、IT化や流通のグローバル化など将来の流通の変化を見据えました市場、環境負荷の低減や都民が多種多様な生鮮食料品に対する食情報に接することができ、あるいはまた、地域のまちづくりにも寄与する市場というものを目指していかなければならないと考えてございます。 本懇談会におかれましては、今後、策定を予定しております基本構想のファンデーションというような極めて重要な役割を担っていただくということで考えてございます。さらに、新市場はここにいらっしゃる委員の皆様、さらには業界の皆様方が直接経済活動の基盤としてお使いになる市場でございます。委員の皆様には、生産、流通、消費の構造変化の見通しや、新市場が持つべき役割や機能など、基本的事項につきまして、活発な議論をお願いしたいと存じます。また、新市場建設のためのお知恵も十分に出していただきたいことをお願いしまして、ごあいさつとさせていただきます。 なお、恐縮でございますが、公務がございますので、この後、一たん中座させていただきます。

2.懇談会設置の意義について

【参事】築地市場再整備担当の参事の小山でございます。本日は、第1回目ということもございまして、開会に当たりまして、この懇談会の設置の意義、あるいは設置に至るまでの経緯について簡単にご説明をさせていただきます。皆様、これから私がお話することについてはご案内のことも多いかと思います。また、ただいまの市場長のあいさつと重複する部分もあろうかと思いますが、そのような重複につきましては、あらかじめおわびを申し上げます。 まず最初に、移転整備に至った経緯についてご説明申し上げます。築地市場は、昭和十年に開設されて以来、半世紀を超えてここに営業をずっと続けてまいりました。再整備の必要性につきましては、つとに叫ばれておったところでございます。東京都は、そういった中で、昭和61年1月に、現地再整備を決定をいたしました。平成3年から再整備工事に着手をいたしました。しかし、その後の経済状況の変化や、市場流通環境の変化等の中で、当初の案による現地再整備が困難ということになり、ついには工事中止のやむなきに至っております。その後、さまざまな現地再整備案を検討いたしましたが、成案を見るに至らず、平成11年11月、第28回築地市場再整備推進協議会におきまして、現地再整備は困難である。移転再整備に方向を転換し、検討するとの意見集約を行うに至りました。 以来、移転先として最も可能性の高いと目されておりました豊洲の、最大地権者である東京ガスとの折衝を続け、本年7月、築地市場の移転を折り込んだ豊洲のまちづくりを協力して進めていくとの基本合意に至ったものであります。東京都は、この基本合意の成立を受けまして、他の地権者との協議に入るとともに、8月7日、東京都の浜渦副知事が、移転先の江東区を訪問いたしまして、築地市場の豊洲移転への協力方を要請いたしました。さらに、この9月4日、江東区議会の清掃・港湾・臨海部対策特別委員会に私ども出向きまして、築地市場の豊洲移転について報告をさせていただきました。 江東区では、この報告を受けまして、庁内に築地市場豊洲移転整備にかかる検討会を設置いたしました。東京都と協議に入ることとなっております。このことにより、東京都としては、実質的に築地市場の豊洲移転への準備に入ったものと考えております。この後は江東区、及び豊洲全地権者との精力的な協議に力を入れていきますとともに、豊洲新市場をどのような市場にしていくのか、検討を進めていく予定であります。さらに、中央区にも、築地市場の移転について、ご理解いただけるよう、積極的に働きかけていきたいと考えております。 次に、この新市場基本コンセプト懇談会についてでございますが、築地市場の豊洲移転準備の第一歩として、そして、今後、建設する豊洲新市場をどのような市場にしていくかをご議論いただく場として設置をさせていただきました。本懇談会では、現在の築地市場の現状と問題点や、豊洲新市場の役割、新市場が必要とする機能やシステム、これらについて自由にご議論いただきたいと思っております。その成果につきましては、東京都の事務局がとりまとめをいたしまして、改めて皆様にご提供させていただきたいと考えております。 今後の予定でございますけれども、今年度いっぱいをかけまして、10回ほど開催をさせていただきたいと考えております。前半の各会では、テーマごとに学識経験者の先生に基調報告をいただきまして、それに基づいたディスカッションを行うというふうに考えております。後半の各会では、東京都の調査資料に基づいてのご議論をお願いしたいと考えております。そして、来年度には、このコンセプト懇談会の成果を土台といたしまして、基本構想を策定し、また、平成15年度には基本計画を策定したいと考えております。 委員の皆様には、どうか新市場は自分たちが使う場なんだと、こういうお立場で、あるべき市場について熱心なご議論をお願いしたいと考えております。また、諸先生方には、世界の築地市場を豊洲に実現できますように、よろしくご指導をお願いいたしたいと考えております。事務局であります、私ども東京都職員につきましても、議論の進展に応じまして、適宜発言をさせていただきたいと考えておりますので、あらかじめこの点についてお許しをいただきたいと思っております。 それでは、本日から約半年の間、皆様方に積極、果敢なご議論をぜひお願いをいたしたいと思います。

【事務局】それでは、事務的なご連絡を先にさせていただいて、あと、座長に移らせていただきたいと思います。 席上ご配付をしてある資料をご確認させていただきます。

資料名 1
「新市場基本コンセプト懇談会」設置要綱
資料名 2
新市場基本コンセプト懇談会委員名簿
資料名 3
懇談会のスケジュール(案)
資料名 4
第1回新市場基本コンセプト懇談会座席表
資料名 5
築地市場の整備(資料1)
資料名 6
豊洲地区事業スケジュール(案)
資料名 7
卸売市場の現状と課題(論点その1)
資料名 8
築地市場の取扱量は増えるのか、減るのか、横這いか?

(論点その2)懇談会の設置要綱の中で、第4に座長の規定がございますが、座長に関しましては、有識者委員の中から選任して、これに当てるというふうに設置要綱ではしておりますが、東京都といたしましては、上原先生に座長をお願いをしたいということで、皆様方の互選という形ではなく、私どもから選任させていただくということでございます。 それでは、これ以降は設置要綱の規定に基づきまして、上原座長のもとで懇談会を進めていただきたいと思います。では、先生、よろしくお願いします。

3.座長挨拶

(上原座長)
よろしくお願いします。これからの議論は、皆さん、座ってしゃべることにしたいと思います。懇談会でございますので、激烈な議論になるとき、一々立っていたら、その分だけエネルギーがむだになりますので、座った形で議論するという形にさせていただきたいと思います。 今回の懇談会について、私としては2つの点に留意をして、これを進めていきたいと思います。まず第一に、豊洲市場のコンセプトをつくっていくんですけれども、恐らく豊洲市場ができるのは10年、それから、活発に動き出すまで5年はかかる。そうしますと、それまでに市場がどう変化していくのかをしっかりと見極めておきたいと思います。この卸売市場を変化させる主要な要因として、私は2つ挙げられると思います。 1つは、消費者がどう思うか。それに基づいて流通全体がどう動いていくのか。つまり、卸売市場だけではなくて、ほかの商品も含めた流通全体がどう動いていくのか。その中で卸売市場を位置づけたい。消費者と流通がどう動くかということは、いろいろなことが影響していますけれども、直接的な問題として、消費者と卸売市場を取り囲む流通がどう動いていくのか。私は基本的に、卸売市場が流通から取り残されて、固有の領域をつくる時代ではないというふうに思っております。流通そのものの変化の中に、卸売市場が、従来とは違った固有性を持たざるを得なくなるだろう。今までの卸売市場の固有性は消えていくかもわからない。新しい固有性をつくらざるを得ないかもしれない。これ、「かもしれない」というところが未来思考的なところでございますので、誤解のないようにしていきたいと思います。そういう方向でこの基本コンセプトの懇談会をつくりあげていきたい。 それから、第2番目に、なるべく皆様方の自由な発言の場にしたい。今回の非常にいいところは、学識経験者と、それから実務家、しかも、比較的お若い方がここに参加なさっているわけです。多分、未来の豊洲市場の中枢を担う方々だと私は思っております。そういう実務の方々と、それから、こちらにいらっしゃる先生や、きょう欠席なさっておりますけれども、福田順子先生は、私はどちらかといえば、自己紹介を兼ねまして申し上げますけれども、私の専門は流通論とマーケティング論、あるいは経営戦略論、いろいろやるわけです。ということは、はっきりした専門がない。全体のまとめはうまくやると思いますが、専門家として福田順子先生が消費者、それから廣吉先生が市場そのものの問題、それから渡辺先生が流通と、それぞれが専門家でございます。そのお3方の学識経験者と、各々の実務家の方々がここで議論して、活発な議論を展開してみたいと。そういうような場にしていきたいと私は思っております。 以上で座長あいさつとしたいと思いますが、ここで委員の自己紹介をお願いしたいと思います。

4.委員自己紹介

【廣吉委員】北海道大学の大学院水産科学研究科というところの廣吉です。この懇談会の基本的なあり方に関するお話は、今、上原座長が格調高く言われたものですから、私が何らつけ加えることはありません。私のキャリアを少し申し上げて、自己紹介にかえたいと思います。 生鮮食料品、特に水産物にこだわって、産業論的な立場から流通とか価格、市場の動きを勉強しております。多分、30年ぐらいになるんだと思いますが、初めは民間の研究所におりまして、そのころ上原座長と仕事をした経験はあったかどうか、ちょっと定かではないんですけれども、流通の仕事を長年やっておりまして、東京に10年ほどおりますけれども、山口県の下関にある農林省の水産研究所に10年ほどいた後、また、東京水産大学に10年ほどおりました。大体、10年刻みで渡り歩いているという人生なんです。 ご承知のように政府のほうが食料農業農村基本法を初め、水産林業もあらゆる生活資源のコンセプトを、政策の方向を変える、軌道修正を迫られる、そういう大きな流れの中に私どもはおりまして、農林水産業の産業論的な立場としても、そうした大きな軌道の中で見ていくほかはないというふうに考えております。先ほど、世界の築地というお話があったかと思うんですけれども、まさに地球的な規模で考えられる課題にどう対応していくのかというようなことも、この江戸周辺の市民だけじゃなくて、日本国民や世界の関係者も注目して恐らく見ているというように思っております。そういう意味で、どの程度小異を捨てて大きな流れを見通せるかということが課題かなというふうに、座長の話を伺って思いました。

【渡辺委員】専修大学の渡辺と申します。先ほど、座長のほうからご紹介いただきましたけれども、流通を研究領域にしております。中でも、卸・小売の動きがどうかという分野と、公共政策、流通政策がどうかという研究領域、それに関連してまちづくりの領域という形で、私自身も、いろいろやっておりまして、たまたまこの数年、卸売市場の問題に関わっており、参加させていただきました。 実は、上原先生は、私のもともとの職場である研究所の大先輩でありまして、この問題、消費者の変化というところを出発点にしながら、小売がどうなる、卸がどうなるというところから考えるべきであるという上原先生のご指摘は、まさにそのとおりであります。非常に今、大きな変化が、進んでいる中で、卸売市場というものが今後どういう役割を果たしていくのかというのが非常に重要な問題になるとは思うんですけれども、例えば、小売が変化したといいながら、量販店の側も、卸売市場なしにやっていこうと考えているところは、そういうところもあるかもしれませんけれども、そうでないところもあるわけでありまして、そういったところとどう対応していくのかなんていうことは、市場自身が変わっていく中で、問われていくところだと思います。 それと、豊洲のまちづくりの合意をしたというお話がありましたが、これから新しい市場をつくっていく中で、どういうまちづくりの中で市場をつくっていくのかというのも非常に興味があるところである一方で、出ていった後の、この中央区の街がどうなるのかなというのも心配ではあるところなんですけれども、それはそれでまた全然別の問題になりますから、前向きにこれからの豊洲に出ていく中で、どういう機能が求められているのかということを、私なりのいろいろな問題提起ができればいいなと思っております。

【石嵜委員】私は、営業一筋でして、特種、すしだね関係がずっと長かったでございます。約30年強と。今年から一応、営業全般に携わるという形になっています。 その中で、最近の市場を見ますと、先ほど先生がおっしゃった、消費者の変化が非常にあるんじゃないか。今の一般の消費者は、例えば、魚もラウンドで家庭で調理するという機会が非常に減っているんじゃないか。それに、時代の推移として、消費者起点という動きの中で、市場がそういう1次処理、2次処理をする施設が果たしてあるんだろうかと。この辺が非常に疑問に思っています。 もう1点は、市場内の物流コストが非常に高いんじゃないか。一例を言いますと、海外から日本に持ってくる海上運賃よりも、市場内の物流コストのほうが高いんじゃないかと、こういうようなことが言われております。 あと、もう1点は、施設、低温設備だとか、安全、安心の面に欠ける。食品の衛生面です。そういう面が不足しているんじゃないかな。これは、先ほども言いましたように、消費者起点から考えれば、緊急な問題ではなかろうかと考えます。 新しい豊洲へ移転する場合は、そういうような機能も十分に盛り込んだ中で、先ほどもおっしゃった、グローバルに対応できるような市場をつくっていけばいいんじゃないか、一応、このように思っております。 以上です。

【亀谷委員】私のほうは、父の代から仲卸をやっておりまして、初めに父のところに手伝いにきたときに、当時、もっと活気があったような感じがするんですけれども、ものすごく混むわけなんです。で、まず、汚かったです。当時から。これ、どうにかならないものなのかなと、若いときからそう思っていたんですが、現在地の再整備という話が、大分前に出ました。ただ、混んでいるとか汚いとかということは、同じ場所でやってもどうにもならないんじゃないかなということは常に感じておりました。その後、移転という話が出てきたときに、これはできることなら、そういう方向でやったほうがいいんではないかということを思って、現在に至っているわけなんです。僕らは実務家と言われて、ちょっと恐縮ですけれども、自分の商売に追われちゃいまして、川下はお客さんからいろいろな要望を聞くんですけれども、じゃあ、全体的にどうなっているかというような、そんな難しいことは正直言ってわからないというのが本音なんです。 だから、この会に参加させていただいて、先生方のご意見をいろいろ聞いて、考えていければなと思っております。

【川口委員】私のお店は、築地市場に移転する以前の旧大根河岸から、ずっと一貫しまして業務関係の納めというような仕事を中心としてやってまいりました。現在の築地市場、青果と水産と総合市場という特色がございまして、スーパーさん、それから小売さん、それで、私がやっておりますような納めの仕事、いろいろな業態が存在しております。そういう面で、私が知っている部分というのは非常に限られている部分があると思いますので、私どもの組合としましては、私ももう50に入ったところなんで、もう少し若い世代の人間を10人ほど集めまして、その世代の人たちにいろいろな業態の人間を集めて、意見を集約して、ここの場へ出していきたいと考えております。 新市場の移転については、やはり、私どもの組合でも、長いこと検討を進めてまいりましたけれども、仲卸という立場からしますと、やはり水産さんのほうもそうでしょうけれども、やはり、半分半分に意見が分かれている。トータルとして多少、移転のほうが多いということで、機関決定として移転ということをいたしましたけれども、全員が全員、同じ考え方ではないというのがございまして、その中でこれからやはりよりよい市場をつくっていくということで、みんなで進めていかなければならないと思っております。 移転に対しましては、やはり、10年、15年先、そういう時点で世の中がどういうふうに変わっていくのか。そのときの科学的な技術の進歩、あるいは流通なり、我々の行っている商売、そういうものがどういうふうに変わっていくのかということを、みんなで考えていかなければ。今の延長として商売が成り立っているんじゃないということを十分考えていかなければいけないと考えておりますので、ぜひ、若い人たちの意見を取り入れながら、この会に出させていただきたいと考えております。

【杉森委員】薬剤師でございますので、エンジニアという立場で衛生のことはある程度わかっているつもりなんですが、私としては、労働環境というものが、今の老朽化した、狭隘化した築地市場の中で大きなマイナス要因になっていたような気がいたします。4K、5Kと言われる、きつい、汚い、臭い、危険とか、いろいろ言われる、そういう環境が衛生面に非常に影響を与えるし、また、その厳しい労働環境の中でクオリティーコントロールというか、品質管理がうまくいかない、そういう面での危機感は非常に感じておりました。 それと同時に、市場においては、魚食普及のキャンペーンというのがあまりなされていないようで、消費の面でも、いわゆる若いお母様方が魚を知らない。調理ができない。その奥様方は魚を食べない。そういうものを行政、業界が連携して、魚食普及に努めたい。それから、いわゆる市場側と市場の外と、その連携というものを考えた新しい市場を考えようと思っております。 また、今回、上原先生とご一緒に欧州の視察団として参加させていただきまして、非常に勉強になりまして、一番感じたことはコストダウンということを真剣に考えていかないと、海外との競争にも勝てないし、世界の築地市場ということになるには、やはりコストの面をこれから重要視することが、そういう意味で物流が時間と面積をうまく利用しないと成り立たないということが非常によくわかってきた感じがします。その点を踏まえて、今後の活動に、また、発言に反映させていきたいと思っております。

【関本委員】私は、入社してから、エビ・冷凍塩魚、鮮魚と、今、大物のほうの勤務をさせていただいておりますが、各種の競り場、もしくは売り場を入社以来見てまいりました。そんな中で、思うことなんですが、やはり時代の変化というんですか、そろばんが電卓になり、コンピュータになった。それから、場内では小車がターレーなり、フォークになった。搬入につきましては、大型トラックと。周りを見ただけでもこれだけ環境が変わっているのに、器だけが昔のままである。これは非常に矛盾を感じる次第でございます。 小通路なんかにおきましては、ターレー同士がすれ違えないぐらいの状態であると。流通自体が大きくなっていますので、やはり、基本である器も移転という形、それが最も簡単と言ったら失礼ですけれども、広いスペースを求めて、僕らもより動きやすい、それから、荷物の搬入もスムーズになされると。やはり、ハード面で器のことを考えていかないといけないなというのは実感しております。 あと、衛生面につきましても、周りがこれだけ劇的に変化している中で、特にこの場内においては、取り残されてしまったような気もしております。衛生面についても、今後、再重点的に考えていかなければならないのではないかという感じを持っております。

【藤田委員】入社以来、営業開発部という同じ部署でずっと勤務してまいりました。今の開発という言葉のとおり、お客様の開発、あるいは産地、商品の開発ということが主な仕事で、仕事柄、外に出る機会もたくさんありました。その中で、お客さん、特に量販店さんなどと話していきますと、その量販店さんの変化と、自分がいる市場の変化、非常に速度、その他、いろいろ、内容的にも差があるなということは常日ごろ痛感しているところです。 今回、新市場基本コンセプト懇談会の委員として、来ているわけなんですけれども、築地には私どもと、それから東京築地青果さん、卸青果のほうございますが、2社の意見を聞き、とりまとめながら、私なりに発言をさせていただければと思います。

【本間委員】主に大物、マグロなどを扱っており、他に北洋もの、合物関係もやっております。仲卸代表ということで、亀谷さんと参加させていただいているんですけれども、皆様ご存じのとおり、東卸の機関決定で、現在地再整備が6、移転が4というような構図がございます。今回、移転派と新聞には書かれたんですけれども、決してそういうような移転派ではなく、移転するとしたらというような視点からこの会に参加させていただいております。 私は、卸売会社に2年間お世話になりまして、もう、かれこれ、人生の半分ぐらいはこの市場で過ごしております。そのときに、仲卸なんですけど、何で仲卸とかそういうところで、もっと直にできないのかなというような考えをまず初めに持ちました。というのは、そういうコストをもっと省けるんじゃないかなと思いました。それで、いろいろ、上司の人に食ってかかったりしたんですけれども、「おまえ、よく仲卸の立場でそういうこと言っているな」とさんざん言われたんです。今はもう20年近くなって、仲卸の大切さを非常に痛感しております。 座長もおっしゃいましたけれども、10年から15年、かなり厳しい状況になっていくと思います。これをうまく現在地の再整備、まあ、ミニ再整備になると思いますが、それとリンクさせながらいろいろ考えていきたいと思います。

【松本委員】場内のほうで荷扱い、並びに運送関係をやらせていただいております。先ほど、渡辺先生のほうから、市場外の流通というお話が出ましたけれども、市場外の流通はかなり活発になってきております。その関係もありまして、市場外の物流もかなり効率化されておりまして、その辺が量販店に並ぶ商品の価格にも反映してきているのかなということを感じております。 市場外と市場内、市場の中の物流ということを考えたときには、やはりかなりおくれている部分があるなと。まだまだ効率化できる部分があるんではないかなということは感じております。ですから、場内の物流というものをいかに効率化して、それを一般の小売店に出すときに、価格面にもうまく反映させることができるのかなということもございますし、市場の流れというものを考えましたときには、これは環境面もそうですし、市場内の混雑の問題もございますけれども、動線確保等も含めまして、まだまだ物流関係、ここは10年、20年ぐらいおくれていると思っておりますので、その辺を効率化して、すっきりとした効率のよい市場にできるかなということを考えながら進めていきたいと考えております。また、関連といういろいろな職種が集まった組合の代表という形でもございますので、関連の中の勉強をしながら、自分自身いろいろと勉強しながら、参加させていただければということを考えております。

(座長)
皆さん、自己紹介、どうもありがとうございました。お話を聞く限り、活発な議論が展開できそうで、楽しみにしております。 1つだけお願いがあるんですけれども、皆様それぞれ業界を背負って出られてきている。これは、仕方ないことだと思っておりますが、同時に、個人の意見もどんどん出していただきたい。業界の意見プラス個人のご意見も出してもらい、活発な会にもっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

議事 5.懇談会の運営について

(座長)
それでは、議事に入りたいと思います。まず、事務局から懇談会の運営についてご説明お願いしたいと思います。

【事務局】最初に、懇談会の運営と今後の段取りについて申し上げます。 1点目は、公開、非公開の扱いをどうするかがあります。これはご提案でありますけれども、懇談会そのものを公開でやると、やはり、自由にしゃべれないということがありますから、それは非公開でいったほうがいいんだろうと考えております。ただ、懇談会で何をどういうふうに議論しているのかさっぱりわからなくて、しかも、この中身については、皆さんのご意見を参考に、東京都が最終的にコンセプト原案を出しますと言っていますから、ある日突然、これが東京都の原案だとぽんと出てくるのはやはりいかがなものかなと思っておりまして、発言内容をありていに、こういうテーマでこういう議論をやって、忌憚なくいろいろな議論が行われているということは、やはり公表していったほうがいいんだろうと思います。 それで、それぞれの発言の内容をとりまとめて、ホームページに出していきたいと考えております。ただ、議論の中で、特定の企業名だとか個人名だとか、いろいろ出てくるでしょうから、その辺は伏せるという工夫は必要と思います。懇談会終了後1週間程度でホームページに出していくような、そういう扱いをさせていただけたらと考えております。

(座長)
いかがでしょうか。先ほど私がお願いしたんですが、皆さん、業界を背負っているんだけれども、個人の意見も反映させてほしいという、その趣旨から言いますと、やはり非公開にしまして、こういうことを議論していますよということをホームページで公開すると、そういう形でよろしいでしょうか。じゃあ、そのように進めさせていただきたいと思います。

【事務局】それから、いろいろ資料がこの懇談会に出されていくと思います。その資料の中でも、原則、公開すべきだと思っておりますが、中には、やはり公開に適さないようなものも出てくるかと思いますので、それはその都度、この資料はオープンですけど、これは取り扱い注意でいきましょうという形でお互いに確認をしながら取り扱いに決めさせていただきたいということでよろしゅうございますか。 では次に、お手元の資料の中の懇談会のスケジュールがございますけれども、これは現在のところ、私どもで仮に予定をしている中身でございます。第1回目から第10回目まで。これを来年3月末を目標にここまで進みたい。大変、強行軍でございます。 このうち、第1回から第5回までと、第6回目以降とで少し性格が変わってくるのかなと考えております。2回目の「食生活と消費行動の変化」、3回目の「川上・川下の戦略」、これも1回でやれなければ2回に分けざるを得ないと思っていますけれども、せっかく渡辺先生、廣吉先生、福田先生というご専門の先生方、参加していただいていますので、それぞれの先生から、15年、20年先、どうなるのか、消費はどう変わるのか、流通はどう変わっているのか、先生方のご研究の立場からこうだよというのを出していただいて、それを聞く中で、そうは言ってもとか、またご質問があるでしょうから、そういうことを中心に、お互いに先の変化をどう見るのかというあたりの議論を5回ぐらいまで、それぞれの認識をぶつけあったらどうかというイメージで考えております。 お3方だけじゃなくて、外からも、例えば、川下だったら、やっぱり外の方も呼んできてやる必要があるだろうと思っております。そこら辺で、将来の見通し、外の動きがどうなのかということも含めて確認をした上で、じゃあ、6回目から豊洲にどんな絵を描いていくのかという話に入っていきたいと思っております。これについては、5回までの議論のやり取りを踏まえながら、それぞれが提案をしていただいてもいいですし、私どものほうからも出させていただこうと考えております。 そういう意味では、5回までと6回までと、ちょっと議論の質が変わる。むしろ、議論としては6回目から始まるというようなイメージでいきたいと思います。懇談会の進め方としてはそんなことを私どもは考えております。

(座長)
一応、懇談会としては、今、事務局からご説明がありましたとおり、少なくとも半分は状況認識といいますか、環境を認識することによって、現在の卸売市場はこういう位置づけになっていると、そういうポジショニングを打ち出してみると。それに基づきまして、新しい市場についてのコンセプトづくりはこうなりますと、そういう流れですが、いかがでしょうか。 これ、第10回はいつ終わるんですか。

【事務局】一応、3月末で考えております。

(座長)
ハードスケジュールですが、頑張りましょうと言うよりほかないですね。それについて反対論はないと。

6.築地市場の現状と問題点及び豊洲地区の概要

【事務局】では、次の6で、「築地市場の現状と問題点及び豊洲地区の概要」をご説明させていただきます。 わかりきった資料という声が聞こえてきそうですが、まだ江東区さんとの協議が始まったばかりですので、今からご説明する中身は、当局としてのこれまでのおさらいのペーパーだというふうにご理解ください。 まず、資料1の「築地市場の整備」から始めますが、「築地市場の現状」で①②③というふうに書いてあります。東京都としては、①にありますように、築地は青果、水産合わせて1日3,800トン。取扱量は減った、地盤変化が始まっていると言われても、3,800トン、1日24億円を扱う我が国最大の中央卸売市場である。特に、水産物については、全国の建値、集散拠点市場という冠たる市場であるという認識は持っております。そういうものとして、さらにどう再生するかというスタンスを貫いているつもりでございます。 ②にありますように、特に私ども、考えているのは、生鮮食料品流通の広域化、グローバル化が進んでいくであろう。どこまで進むのかについては、ぜひ、この懇談会で議論をお願いしたいと思います。 そういう中で、全国の広域流通拠点、集散拠点としての築地市場の重要性は減らないというふうに私どもは見ております。真ん中のグラフで、築地は最大の水産物の基幹市場であるというのは当然なんですが、実は、青果に関しても、並べてみると、全国第3位の取扱量を誇るパワーを持った、すごい強力なセクターだというふうに私どもは認識をしております。だから、築地は水産だと、水産主導で、水産オンリーでという発想はいかがなものかというふうに考えています。往々にしてそういうことをおっしゃる方が、まだ水産業界の中にいらっしゃいます。 2の「問題点」でございますが、これは市場長が申し上げましたように、知事が見て、①は、要するに狭い。②は古い。③は危ないと。その狭い、古い、危ないという、非常に情緒的な言葉を定義していくとどういうことになるのか。私どもはこういう認識を持っているということでお示しをしてあります。 次の2ページでございますが、3の「流通環境の変化と市場移転の必要性」ということで、先ほど来、皆様方の自己紹介の中でも出ておりましたけれども、今、生産・流通・消費の構造そのものが大きな変化にあるという認識を持っております。特に、バブル経済の崩壊後、一気にそれが浮上してきて、構造変化が加速度的に進んでいるという認識をです。 そのような中で、21世紀の中核を担う市場に築地を再生するためには、もともと、昭和10年当時に600万人の供給対象人口を想定してここはつくられているわけですから、築地でやること自体がそもそも無理だというふうに考えております。現在の取り扱い量を前提にしても、ここでは狭くてできないというのが私どもの考え方でございます。 その中で、これから何に対応していくのか。大きな柱としては、消費の変化。それから物流コストをどう低減していくのか。それから、食品衛生や環境問題の高まりにどう対応するのか。これは先ほど来、皆さん方のご発言を聞いていると、認識はほとんど一致しているのではないかというふうに理解ができるのかなと。私ども、これが重要なポイントだろうというふうに考えております。 4番の「豊洲の新市場が目指すもの」ということで、ここは抽象的に書いております。今の段階で中身が固まってもございませんし、対外的にそこまで決めたものでもっていくんですよというご説明をできる段階でもありませんので、抽象的に入れてあります。①の「広くて、きれいで、使いやすい」というのは、実は、「古い、狭い、危ない」の反語です。先ほど来、ご意見が出ていたような、消費の構造の変化にどう対応して、物流コストをどう削減して、衛生と環境問題をどう解決していくかという部分です。 ただ、豊洲の場合、それだけではなくて、特に、環境にやさしい市場づくりの中で、周辺地域との調和という問題が大きく求められている。それから、③の、地域のまちづくりに寄与する市場が来るんでしょうねということを相当強く、地元の方々からは言われております。市場は治外法権みたいな社会だから、塀の中で何をやっていようが、お隣とは関係ないでしょうと。そういうものだったら、そもそも来てもらっちゃ困ると。 まちづくりと市場との関係をどういうふうに考えていくのかというのが、すごく大きなテーマになる。市場だけで取引、物流の場として、いい市場にしてしまえばそれでいいということだけでは、済まない市場ですよということがあります。 ④ですが、世界に向けてというご発言もありましたが、私どももそういうふうに考えております。ただ、グローバル流通の中で、そのグローバル流通の拠点、例えば、ハブマーケットみたいなものをできるのか、できないのか、その辺がどうなっていくのか、相当難しい問題だというふうに考えておりますけれども、グローバル流通は視野に入れて市場づくりは考えざるを得ないと思っております。 次の3ページですが、築地市場再整備の経緯でございます。これは小山のほうから既にご説明をいたしましたので、後ほどお読みいただければと思います。 その次に、豊洲の概要ということで、写真を入れてあります。左の上の黄色が23ヘクタールの築地市場で、ピンクでつぶしてあるところ、ここが今現在、地権者である東京ガスさんと一応の合意を見ている場所です。したがって、この島の一番先端の部分、ここにはピンクがかかっておりませんから、そこは東京ガスがお使いになるという意向を表明されております。この最先端部を除いて、この3街区にまたがって、おおむね40ヘクタールです。 東京ガスと私どもとの合意だけではなくて、江東区も、他の地権者の方々も、これで合意をしていただけるかどうかということを、今、協議中だというふうにご理解をいただきたい。この築地と豊洲の間は、直線距離、約2.5キロメートル。ちなみに、この赤の道路が現在、着工中です。 次に、横書きで「豊洲地区の事業スケジュール(案)」という、資料が出ております。 この豊洲の移転候補地の地域は、今、土地区画整理事業という形で事業が進んでおりまして、この下に広域交通基盤というのが出ておりますが、ゆりかもめ、それから晴海通りの延伸。晴海通りを拡幅をして、湾岸にぶつけてしまう。既に晴海と豊洲の間は橋脚が工事に入っております。それから、環状2号線が新橋と湾岸をドッキングさせる。こういう幹線道路とゆりかもめを、都市区画整理事業とリンクをして、開発者の皆さんの負担金を出していただきながら、この道路をつくっていく。区画整理事業という形で進んでおります。 晴海通りは平成17年度中に貫通をする。環状2号線ですが、平成17年は、有明と豊洲の間は完成をする。それから、平成20年まで、今までは平成27年までに湾岸から新橋まで開通するという計画でしたが、去年の暮れに出しました、知事の東京構想2000という計画で、これを前倒しをするということがはっきり出ております。ただし、膨大な建設コストがかかりますので、財源の確保と工期の短縮ができれば平成20年までに新橋までつなげたいという計画になっています。そういう意味では、平成17年までの環状2号線は間違いないんですが、18年度以降が20年で前倒しができてしまうのか、おくれて、もともとの計画の27年新橋までの開通まで戻ってしまうのか。ここの部分は、検討中で、確定をしておりません。ゆりかもめは間違いなく、18年度から開業というスケジュールになっております。 これにあわせて一番下に市場整備が入れてあります。私どもは、環状2号線の開通時期にあわせて、市場の移転開場時期をにらんでおります。今までは27年が環状2号線完成の計画でしたから、27年度市場移転、28年度開場予定というふうに言っておりましたが、これが前倒しされたことによって、ここの表でも市場の開場時期は縮めてあります。今、関連局が集まって、どこまで前倒しができるのか。道路は一体いつまでにつくるのか。それにあわせて市場は、同じタイミングで建設までもっていけるのか、こういうことをやっている最中です。 したがいまして、公式には従来どおりの27年建設完了、28年開場という形になろうかと思います。ただ、実際は前倒しと、こういうことになります。 次に、「論点その1」「その2」というふうに出させていただいております。今までの説明の中で、消費の変化に合わせて市場をどう変えていくかという話と物流コストを削減をして、衛生基準をきっちり守れるいい市場をつくって、環境の負荷を下げて、それで消費者のニーズにこたえられるような商品を集めていけば、市場はそれだけでいいんですかという部分があるんだろうと思っております。 それで、「論点その1」のペーパーですが、これは左側は築地に限ったことではなくて、卸売市場全体の話として出しています。卸売市場の現状と課題で出ていますが、2つあります。「生鮮食料品流通を通じて、市場は『都民の暮らし』と『東京の産業』を支えている」という表現ですが、これまで都民に対する生鮮食料品の安定供給ということは皆さん十分ご承知でしょうが、実は、東京の産業をも支えているんではないか。食品関連産業のインフラストラクチャーとしての市場の側面というのを、ここではうたい込んである。 これはちょっと耳慣れない言葉で、市場業界の皆さんと私どもが議論を進める中では、今まで出てこなかった部分だろうと思っております。今回、その辺をどう見ていくのかという問題意識を私どもは持っているわけです。 下のピンクで4つございますけれども、取り扱い量の減少と市場外流通の拡大に見舞われているとか、全近代的な市場施設の中で問題を抱えているとか、それまでの護送船団方式から脱却をせざるを得ない時代に来ていると。こういうことがあって、卸売市場そのものが、今、転換期にある。したがって、21世紀の市場づくりで、特に豊洲を戦略的に市場づくりをすることによって、市場の再生を目指す。そして、競争原理による新たな市場システム等を入れて、市場を再生することによって、東京の産業を支えるという意味合いからいくと、東京の牽引力になるだろうし、街のにぎわい、観光スポットまで含めれば、東京そのものの牽引力になるのではないかというふうな認識を、これは市場を超えた部分として、都政の中でこういう視点があるということを示しています。 右のほうですけれども、これは築地を「基幹市場として再生するための課題」というふうに書いております。ちょっと左側と右側は違った色枠になっております。1つは、構造と現在やっているやり方、このシステムを変える必要がある。具体的には、市場業者の統合・大型化というのをどうしていくのか。それとの絡みで、卸さんも、仲卸さんも、関連の方々も、それぞれ、それまでの機能、役割分担、すみわけ、そのものを見直していく必要があるんではないかと考えております。 それから、物流効率化のためのシステムの一元化とか、アウトソーシングに取り組んでいく必要があると。それから、規制緩和をやって、皆さん方がもっと自由に活動できるような、そういう方向にいくべきではないのかということが、ハードの検討に入る前に、ここの議論は避けて通れないと思います。 その下に、「市場業者の方々の意識の変革」ということで3点ばかり出しております。こういう構造とシステムを変えて、意識を変えていかないと、ただ単に広いところに、立派なハードをつくって、やっていることは、ここでやっていることを持ち込む、そういう市場をつくったんでは意味がないだろうというのが、私どもの認識であります。 具体的には、新市場にどんな夢を託すのかというのを、この懇談会でぜひご議論をいただきたい。もっとブレイクダウンをしていくと、一体、ビジネスチャンスをどこに求めていく市場にするのかという話だと思います。それで、だれと、どういう競争を豊洲に行ってしていくのか。今までのお客さんに加えて、どういうところをターゲットにして、新しいお客さんを取り込んでいくのか。ここがはっきり出てこないと、夢が描ききれないというように思っています。 それから、21世紀にふさわしい市場ということで、環境だとか、地域の人々との連携の話もぜひご議論をお願いしたい。それから、食品関連の発展を支える市場づくりと、イメージとして何となくわかりますが、ほんとうにそんなことできますかということも含めて、議論をしてみる必要があるのかなというふうに考えております。 もっとブレイクダウンをして、最後の「論点その2」ということで出させていただいております。端的に言って、豊洲に行ったときに取り扱い量は増えると見るのか、減ると見るのか、横ばいでいくんだと見るのか。左側に、それを考えるときの要因として、消費と顧客。顧客と流通はこう変わっているじゃないかと。生産の状況もこれは入ってくるわけです。こういう変化の要因がある中で、どういう取り扱いの見通しと、それに応じた市場像をつくっていくのかと。コンセプトの具体的な中身というのはこういうことと絡んでいるんだろうなと考えております。皆さん方、市場全体の業者さんの中には、いろいろなものの見方があるということは承知をしているつもりです。 右のほうに書いてありますように、もう、需要の右肩上がりは終わった。消費は減っていくんだ。市場外流通は拡大をしていって、市場の取り扱い量が右肩上がりで増加していくのはもう無理な時代に入っている。築地は、有利な鮮魚部門に特化をして、水産の生鮮専門市場として残ればいいじゃないかと、こういう市場論もあるわけです。 次に、集散拠点市場としての機能と役割はどんどん増えていくだろうと。ただし、今、現にそうでしょうけれども、市場業者の売り上げにならないような形で増えていく可能性もある。そういう市場になるんじゃないかという見方もあります。 それから、もう一つは、消費者ニーズを適切に把握し、高コスト構造を是正すれば、バラ色の世界が広がるんだと単純に言えるのかという問題もある。一番下にありますように、商圏を拡大して、ビジネスを広げて、市場間とチャネル間競争に勝ち抜いて取り扱いを拡大していく。逆に、勝ち抜かないと意味がないんだと、こういうふうに考えるのか。いろいろなタイプがあるんだろうと思っています。 その中で、多分、どれか1つだということではなく、これとこれを折り込んでということになるんだろうと思いますけれども、その辺について、皆さん方と議論をさせていただきたいというのが、私どもが懇談会を通じて想定をしている論点のイメージということで、ご参考までに問題提起をいたします。

(座長)
ここで論点、私はそのとおりだと思いますので、むしろこれから、このほかにどんな論点が出てくるかということのほうが重要ですから、この委員会のこの論点を踏まえて、この懇談会を進めていきたいと思っております。

(委員)
質問なんですが、築地市場の整備で江東区に配られた資料の一番冒頭のところで、「築地市場の現状」の①のところで、「世界最大規模を誇る全国の建値市場となっている」という、「建値市場」というのは、多分、業界用語でお使いなんだと思うんですが、ちょっと意味がよくわかりづらいんですが、日本全国の価格決定、価格形成を築地がリードしているという意味なんですか。

【事務局】そういう意味です。

(委員)
今、現状、やっぱりまだ築地の値段が日本全国の値段にかなり影響を及ぼすという状況に変わりはない?

【事務局】相当、その機能が落ちてきているんではないかという声も聞かれますが、むしろ、皆さんに聞きたいんですが。

(座長)
問題なのは、落ちてきているのをどう認めるかというのね。落ちてきたからいいというのか、それとも価格形成機能は持っていこうというふうにするのか、別の機能でもっていくのか。その辺も含めてどうだろう。業界の皆さんのほうからお願いしたいと思います。

(委員)
最近の傾向としては、魚を評価する機能というのは、徐々に薄れてきているのかなという気はします。

(委員)
僕の業種としては、主にマグロなんで、やはりマグロに関してはかなりウエイトというものは占めていると思います。

(座長)
マグロは確かに強いですよね。これは、この間、スペインに行っても、スペインのマグロ業者は、築地の方が取引できればいいということを非常に......。もちろん、今でもやられていますけど、もっと増やしたいという意見がございました。

(委員)
私のところは、大体、マグロ以外のものが多いんですけれども、特別に、いわゆる高級なものとか、こういうものに関しては、今、実需がよくないというのもあるんだと思うんですけれども、比較的、需給とか、品物とかで、値段は決まっているのかなという気はするんですけれども、いわゆる大衆魚というんですか、一般的な惣菜魚みたいなものですね。これはやっぱり川下の影響というんですか、量販店の力が強いというのがあるんだと思うんですけれども、全体に何があっても安値傾向というんですか、そういう形になっているんじゃないかなという気はします。景気とかそういう動向もあるでしょうけれども、やっぱりお客様のほうで売りやすい値段に向かっているというようなところはあります。だから、かなり数が需給的に少ないようなものの場合はそうでもないですけれども、ちょっと多いと値崩れが激しいんじゃないかなという気はしております。だから、これが全国の建値にどう影響しているかということは、我々は築地しか見ていないので、卸の会社さんのほうがよくわかっているんじゃないかと思いますけれども。

(委員)
私、先ほど評価と言ったんですけど、卸も仲卸も、歴史の点で、力が以前と比べて落ちているんではないかなと。

(座長)
ほかは落ちているけれども、自分のところはいいと......。

(委員)
いやいや、卸さんも仲卸さんも、やっぱりそういう傾向はあると思います。

(委員)
集荷力も形成力も落ちているというのか、変化しているのか、その辺はちょっと難しいなと。やっぱり、20年前と比べると、物流と主要なマグロを初め、全体の取り扱いに影響を持つ3品というのはいずれも大きく変わっているわけで、そういう意味では、価格形成力や集荷力の内容が非常に変わっているから、機能がどうかという評価軸はあるかもしれないけれども、落ちているのかどうかというと、大体、集荷力とか価格形成力って一体何なんだと、こういう議論になりますから、いろいろなことを念頭に置いてお話しされていると思いますが、私は率直に言って、落ちているというよりは、大いにさま変わりしたと。それにどうついていっているかどうかという、そういう評価はあるんではないかと、そういうことかなと。 それから、ちょっと細かい話だけど、さっきの事務局の資料のお話でもあったんですけれども、水産で建値市場という言い方は、私は、これ、30年、40年仕事をやっていて、あまり聞かないんですけれども。会話では我々、言うんです。建値市場って。ところが、青果物はご承知のように建値市場と、農林省もそういう言い方をして主要中央市場の、東京都を初め、幾つかの建値市場での価格表示を情報化すると、流すというようなことを、行政用語としても使っていますし、そうなんですが、水産物では建値市場というのは概念化されておりませんから、会話の中で、影響力のある、物流の非常に大きな役割を担う、例えば築地なら築地が、市場が大きい取引のものについては、そこの価格は無視できないという意味での建値市場という言葉は使うけれども、だから、ここに建値市場という言葉があったんですが、青果物では明確に建値市場という概念化はありますので、それは私はいいかなと思いますけれども、ちょっと間違われやすい。魚屋の中での言葉を表に出すときに、それは誤解を招くかなと、ちょっと気になりました。細かいことなんですけれども。

(座長)
普通、工業製品の建値という概念と大分違いますよね。建値をどういう意味で使っているのか、また改めて議論をして、これはまさに築地の価格形成とは一体何なのかという議論も。 そもそも価格形成機能というのは変わってきたと思うんです。つまり、需給調節の価格形成機能を言っているのか、それとも付加価値をつけた価格形成機能を言っているのか、その辺も多分ごちゃまぜになってきておりますし。

(委員)
それともう一つ、行政がかかわって卸売市場、他の取引を相手にしているんですけれども卸、問屋、もっと大きくくくってみると、産業的なポジションの中で、それ自身が大きく変わっているんじゃないかと。卸、問屋が。場内のことだけを見ていると、位置づけが少し変わってこざるを得ない面もあるのかなと思いますが、全体として卸、問屋機能というものが産業の中で、どういう具合に代わってきているのか。これについても、食品でも気にする必要があるんじゃないかと思うわけです。だから、市場だけの問題じゃない。まあ、これ、どう見るかですけどね。

(座長)
これは、農水省の市場問題の検討会でのワーキンググループがありまして、そこの論点整理とのかかわりがありまして、卸と仲卸の業務範囲が今のままでいいのかという。これは市場だけの問題じゃなくて、大きな外側の流通とのかかわりで、やはりここでも問題にせざるを得ない。実は、それと価格形成機能というのは、話が随分変わってくるんです。その関係のあり方によって。基本的に価格形成機能というのの一部は、産業の構成要因の関係が大きな影響を与えますので、それもかかわって来ていると。そういう議論もしています。 どうぞ、皆さんのほうからご自由に。

(委員)
このグラフで見て、水産の場合はずば抜けていますけど、青果の場合というのは大田が大きく占めて、その下は大体、横並び。築地は3番目ということです。こういう中で価格形成という問題がどうなのかというのは、仲卸の立場としましては、20年前ですと、やはり競売というものがありまして、そこで自分が欲しいものを自分の欲しい値段で買えたと。実際に何が、どういう品物があって、それをどれだけ欲しいのかということが明確にできた。現在は、どれだけのものが入っていて、その中で自分がどれだけのものを買えるのかというのも明確になっていないという状況だろうと思います。 そういう中で、そういう情報がきっちり取れない状態で価格が決められるのかどうかという問題。買っている立場としては非常に感じるわけですけれども、逆に、生産者のほうは再生産価格等で値段を決めてくるというものがあるから、卸さんの立場と我々とはまた違ってくるだろうと感じています。 ただ、築地の場合には、こういう市場の特性がありますから、それに合わせた品物、つまものとか、細かいものがいろいろ入ってまいりますので、そういうものについては、かなり競売で値段は決められる部分がありますけれども、大型野菜とか、大量に動かす品物については全然状況が違ってきていると思います。

(座長)
築地と言っていいのか、豊洲と言っていいのかわかりませんけど、私は、世界的な市場にするということは、従来の一般論じゃちょっと考えられない側面を持っている。機能が変わるかもしれない。だから、どの機能で世界に名を成すのか。取扱量で名を成すのかという時代じゃないと思うんです。その辺、ちょっと、どの機能にするのか。私は、いろいろな国を回ってみて、築地を世界遺産にするためにどうしたらいいのかという。このためには新しい考え方が必要かもしれません。 町と考えたときに、ものすごく重要なのは、ほんとうの町というのは、一日じゅう休まないで生きてないといけない。これ、もし、築地をまちづくりの中で位置づけるとしたら、夜と昼との関係をどう機能循環するのかという、その辺の大きなかかわりが出てくるかと思います。日曜日どうするのかとか、何か新しい機能の考え方が必要だろうと。

(委員)
事務局説明にあった新市場が「都民の暮らし」、「東京の産業を支える」という考え方は今まであまりなかったということがあります。これ、自然な発想だと思っています。前橋とか宇都宮の市民は関係ないのか。多分、非常に大きな影響力を今後とも持ってくるわけで、そうすると、「国民」の概念というのをもう少し表現するのか、コンセプト変えてみるのか。

(座長)
これは重要な問題で、築地を豊洲に移転するときの1つの論拠というのは、築地は、もう、東京都だけじゃないんだと。重要な位置づけというのが、私たち築地移転に賛成した1つの論点なんです。だから、今、おっしゃったように、「都民」というのは、ちょっと私も疑問に思っていましたけど。

(委員)
都民も24時間生きているんで、やっぱり、地球の裏側にも遊びに行くし、そうすると、やっぱりそこからまた築地が逆に見えてくる。 【座長】インターネットで取引できるようになると、やっぱり都民だけじゃないかもしれません。都民というのは一応、わかりますけれども。都民に地盤を置きつつ、多分、もう少し広い視野でもっていったほうがおもしろい考え方ができるんじゃないかと思う。それと、もう1つ重要なのは、現在あるたくさんの市場が再編成されていくわけですよね。はっきり言いまして。その中で築地を位置づけたときに単に都民という形では議論ができないという。 【委員】平成27年完成、28年開場、前倒しもあるかもしれないと。しかし、考えてみると、私達は生きてないかもしれないんだよね。それほど長いレンジ、それぐらいのレンジで考えるとすれば、そういうレンジでやっぱり先々の見通しも考えると、孫が成人するようなぐらいのときにどうなっているのかといったことですかね。昭和10年に築地が開場ということですが、すぐに、戦争経済のほうに入り込みますから、大政翼賛会の末端にネットワークに組み込まれちゃって、がんじがらめの官僚統制の中にはまっちゃったわけですよね。全部、戦争の道具になる。それは昭和25年ぐらいまで、戦後の統制が外れるまで、やっぱり市場は具合よく使われちゃった。

(委員)
そうすると、ほんとうに市場原理の投影として自由な売り買いを推進していく、ほんとうに市場法の第1条で言うような市場になったかどうかというのは、そんなに歴史がある話じゃない。

(座長)
私は、むしろこれからだと思います。

(委員)
かもしれません。行政と市場とのつきあい、市場の変化の方向についても、あまりお手本がないのかもしれない。そう考えると、違うものが見えてくるかなという感じがしたんですけれども。

(座長)
皆さん、今、中堅でいらっしゃいますけれども、新市場ができるころには長老の立場に立っていますから、長老としてどういう戦略を立てられるかということとかかわってくるわけですね。ですから、私は今、委員がおっしゃったのに非常に近い意見なんですけれども、はっきり言って、統制経済から自由経済へ移行する、そういう要素が強くなりますよ。これはある程度前提だとも思うんです。そのときに市場ってどう見たらいいのかと。どうだろう。この際、こういう形で自由な議論をしつつ、話をもっていきたいと思います。何か、皆さんのほうからありましたらどうぞ。

(委員)
私は、3月にヨーロッパの幾つかの市場を見る機会があったんですけれども、パリの市場、ランディスに行ったときに聞いた話で非常に印象に残っているのは、フランスがカルフールは日本に来て幕張にオープンしましたけれども、カルフールを筆頭に、量販店がかなり上位集中化していると。そういうところの仕入れというのは、ほとんど直取引で水産物、青果にしろ、加工品にしろ、直取引をしている。そういう中で、じゃあ、ランディスをどういうふうに使っているのかという話を聞いたんですけれども、ランディスというのは1つのブランドになっているらしいんです。うちはランディスから仕入れて、ランディスの魚を売っているよということを、例えば、カルフールのインターネット販売部門がラジオか何かでコマーシャルやっているらしいんですけれども、そこで、うちの魚はランディスだよということを言っているという話を聞いたんです。それが非常に印象に残っているんですけれども、フランス人もやっぱり日本と同じように食にうるさい国で、食べること、食文化が非常に進んでいる国であるわけで、そういうのが直取引で加工品でばかばか入ってくる切り身みたいなものばっかりが一方で売られているわけなんですけれども、それとは別に、ほんとうの鮮魚とか青果とかという新鮮なもの、高級品についてはここから仕入れているんだという扱いをしているという、分けているわけです。それが日本の10年後の姿というよりも、二年、三年先の姿になるのかもしれないんですけれども、やっぱり、1つの市場から仕入れたものというのはブランドになれるような、これは新市場、豊洲から仕入れているんだという、そういうブランド力をつくっていくというのも、1つの、これは新市場の大きな課題になるんじゃないかなと思うんです。今は、逆に、産直で、あるいは直接仕入れていることが、それぞれの量販店のブランド力になっているかもしれないですけれども、そうじゃなくて、店頭でつくっている人の写真なんか張ってあったり、どこそこの農家でつくりましたとか、だれだれさんがつくりましたとかというのがありますけれども、それと同じようなレベルで、豊洲市場のこういうところから仕入れたというのが小売店の店頭に並べるような、そういうブランド力のある市場というのをぜひつくっていただきたいという感じがしております。

(座長)
私もこの間、ランディスに行ったんですけれども、ランディスで1つ重要なことは、あそこは仲卸と卸の区別がないんです。そこで卸売業者が400人いたのが、5年間で150人に減っている。 それで、大きく取扱高が減っている。 その1つとして、ブランド戦略が1つあります。もう一つは、量販店に流す配送センターを、卸売市場の機能を利用すると、それをまずやっているんです。こういう形で大きく変わった。それから、メルカマドリッドといって、これはランディスよりもものすごい発達している卸売市場なんですが、そこもスペインの基本的な考え方は、競りは産地市場だけです。消費地市場は全部相対です。そこも仲卸と卸の区別はないんですが、そこの卸売さんが非常に重要視しているのは、小売店の鮮魚点の業態なんです。鮮魚点の品ぞろえを指導して、非常にいい鮮魚点をつくるところなんです。それで、消費者は、片一方でパッケージしたものを買う消費者と、もう一つ高級感を味わいたい買い方をするという、そちらのほうに、非常に丁寧に指導していました。 魚屋に行ってみたんですが、非常に楽しそうです。日本の魚屋行くと、話しかけるの怖いですからね。そういうふうにして変わってきている。何か、そういう新しい方向も取り入れていくことがあるんじゃないかなと思います。

(委員)
確かにすっきりしていました。ただ、ランディスにしても、メルカマドリッドにしても、いわゆるエンドユーザー向けの配送センターかなという印象がものすごく強かったです。 ですから、そこまで機能を圧縮してしまえば、これは環境面にしてもそうですし、非常に効率というのは、よくなるだろうなと。そのためには、産地で競りみたいなものがありますので、果たしてそれが日本で通用するのかどうなのかというのは、大きな問題ですし、あれをそのまま今の築地にというのは、当然、当てはまらない部分でもありますけれども、ただ、物流の効率化、特にオランダの生花の市場に行ったんですが、最後のほうに、売り場の3分の2以上は花が載っている台車で埋めつくされてはいるんですが、これは非常に理路整然と物が静かにきれいに動くという、あの辺を何かヒントにできないものなのかなと。ほとんど電気ですので、ほこりのたぐいはほとんどございませんし、非常に衛生的な印象は受けました。 それに比べますと、今の築地の場内、どこで何がどうなっているのかさっぱりわからないという状況でもありますので、その辺の環境、物の流れというものを、まずある程度組み立てないことには、市場自体の組み立ては難しいのではないかなと。今回、一緒に連れていっていただきまして、漁場から小売店までの物の流れが非常にはっきりしております。その辺はやはり構築する必要があるんだろうなと。 築地のブランドも、一般の消費者の方は、築地の魚はおいしいという感覚は、印象をすごく持っておりますので、ただ、買いたいんだけど、魚だけじゃおかずにならないし、ちょっと肉高いしということで、ですから、今、チリギンなんてサケが出ていますけれども、スーパーに行けばチリギンであれば1切れ100円。それが北海道産のシャケであれば、2切れで600円とか、そういう金額になってきていますので、今、日本経済どうのこうのという話は、僕はとてもできませんけれども、どうしてもそっちの安いほうでとりあえず済ませちゃおうかなという感覚が強いのかなと。 ですから、スペインの魚屋さんはほんとうに見事です。あれだけ種類がきれいに並んで売っていれば、やっぱり目にとまりますし、あ、買いたいなという意識というのは強くなるんじゃないのかなと。 今回は、物の流れが非常に理路整然となっているということと、あとは、小売店さんのお客様への対応、いかに付加価値をつけていくかというところも考えていかないといけないのかなということは非常に感じてまいりました。

(委員)
ちょっと話がずれてきてしまうかもしれないんですけれども、水産仲卸の機関決定で六対四という構図があります。今、どういうような現状になっているかはちょっとわからないんですけれども、行政の方へのお願いなんですけれども、この基本コンセプトでお話をどんどんしていくのは重要だと思うんですけれども、行政の方から新市場の情報とか、何なりを、もっと流してほしいです。夢のあるいろいろな、これから市場づくりということもあるんですけれども、その夢のありかを、今、どうしてもこの辺に残ってやるという人もまだまだ大勢います。そういう人たちの目を向けるにも、行政のほうのいろいろな指導、情報、今、新聞紙上だとか週刊誌でもいろいろな話が出たりとか、そういうことに対して、すぐ、こういうことなんだ、大丈夫なんだという情報とか、いろいろなものを流していただきたいんです。

(委員)
最初の話で、市場が汚いというお話がございましたけれども、やはり、築地の市場から出るごみというのは非常に多いわけですよね。それが我々の流通コストに占める比率もかなりの部分があると。何でそんなに汚くて、ごみがいっぱい出るのかというと、我々、買ってきたもの、全部売れるわけじゃないですよね。また、卸さんにしても、仲卸に売れるだけの量をきっちり集荷しているわけではなくて、それ以上のものが入ってきてしまうという部分がある。需要と供給の部分でミスマッチが生じているというのが現状ではないかなと思っています。
情報にしましても、どれだけそれがきちんと入ってくるのかという情報がきちんととれれば、それにあわせて、毎日毎日売り切れるような量を買いたいんですけれども、実際にはなくて、あしたは入らないという可能性がかなりあると。そうすると、その分はストックしておかなければならない。ストックするとごみになってしまうという状況があります。10年、15年先になった場合に、コンピュータが進歩して、一般工業製品でいうサプライチェーンマネージメントみたいな消費者から生産者までの情報の一元化ができるような問題が生じてきた場合、市場のあり方というのはやはり変わってくるんじゃないかと。10年、15年先でどういうふうに変わってくるのかというものを、専門家の方にご提示いただいて、我々の参考にしていただければ、我々の商売の方法も変わってくるんじゃないかなと考えています。

(座長)
そうですね。ただ、いかに在庫をなくして、すっと流れるとよく言いますけれども、商行為というのは、やっぱりいつ売るかというのが勝負ですから、私は基本的には、これからも在庫に対してどういう効率的な処理をするかという問題があると思います。だから、当然、在庫もたくさん出て、ストックも持って、それに対して市場はどうきれいにすべきかというふうに考えたほうがいいんじゃないかと。在庫ゼロのビジネスというのは、僕はあり得ないと。メルカマドリッドを僕らが見たとき、びっくりしたのは、市場管理者の一番の要点は一体何なのかと聞いたら、クリーンだと。きれいにすることとおっしゃっていました。常に掃除しているんです。これは非常に勉強になりました。

(委員)
そういう面で、産直をして、中心階級だけ取れると。残りはどうなるのかという問題がございますね。産地で生産されたもののうち、どれだけが消費者に行くのかということを考えた場合の市場の役割というものがこれから問われてくるんじゃないかなと。

(座長)
基本的な考え方としては、市場とほかの流通とか、多様な中の一つとして位置づける。だから、いいときにはこういうふうに使って、いいときにはこういうふうに使うと。だから、有効競争になっていくと私は思うんですけれども。どちらか一つが勝ち負けということになるんだろうか。だから、海外のスーパーチェーンなんかにしても、配送センターは卸売市場の中にあったほうがいいという、そういう意見を持つ人も、日本にもいますし、若干、そういう機能の問題とやっていく必要があるんじゃないかと。

ほかにないでしょうか。ちょうど3時半になりましたので、これで終わりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

午後3時35分 閉会

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