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第4回新市場基本コンセプト懇談会議事録〈要旨〉

(要旨)

日時:平成13年11月6日(火)午前11時00分~

会場:築地市場 東京都第4会議室

1.講演「川下の戦略と市場への期待、批判」

講師:渡辺達朗委員(専修大学教授)

川下の戦略と市場への期待、批判というテーマで、渡辺委員から「加工食品卸・日用雑貨品卸の川下戦略~「機能強化」に向けた取り組みに学ぶ~」について、講演がなされた。

Ⅰ.「卸中抜き」の危機

  • 衣料品の業界でユニクロがなぜ伸びているかと言うと、卸を飛ばして自ら生産機能も取り込んでいるから、高品質で低価格のものが実現できると言われています。
  • 卸を飛ばすことによって流通コストが削減できるという議論が、世の中の大きな風潮としてありますが、果たしてそうなのかという問題提起も 含めて話したいと思います。

Ⅱ.構造変化が進む卸売業

  • 卸の経営状況を小売店と比較した場合、本業のもうけを示している売上高対営業利益率を小売と比べて見ると、卸の営業利益率はかなり低く、小売の4%台に対して卸は1%台です。それに対してコストの方は、販売・管理費比率、売上高対人権費比率を見ると逆に小売の方が高くなっている。本来であればコストが高ければ利益は下がりそうだが、コストが低い卸の方が利益が低いという特徴が上げられる。
  • 1%しか利益が出ないから、投資ができない、投資ができないから利益が下がるという悪循環的な状況になっているのが日本の卸売業全体の状況であるということです。

Ⅲ.卸売業の機能強化への取り組み

  • (1)卸売業が期待される役割の縮小
    多くのチェーンストア、スーパーは、品揃えや仕分けをして各店に配送するという中間流通機能を持っておらず、それを今まで卸がやってきたが、運輸業者等の第三者がそれに取って代わろうとしており、それをサードパーティロジスティクスと言っています。
    中間流通機能をだれが担うのかということですが、卸のコスト構造が硬直化していることから、身軽に動ける運輸業者のほうが、安い値段で落札するケースが増えてきています。
  • (2)機能強化の方向
    • 全国的、広域的な販売ネットワークの形成
      大規模小売組織の全国的ないし広域的な店舗展開に対応するために、全国各地に存在する地方卸の吸収・合併や 自社グループへの系列化、あるいは他地域の有力卸との合併・提携が進んでいます。
      自社が持っていない商材、あるいは弱い商材を補完するということで、例えば常温の加工食品卸が、冷凍、冷蔵、あるいは低温の4温度帯をそろえる。さらに酒卸を取り込む、菓子、日用雑貨の分野にも広げる。要するにスーパーの店頭商品を全部1社で供給できる体制をづくりが全国規模で進んでいます。
    • 品揃えの拡充
      大規模小売組織の幅広い品揃えに対応するために、自社が手薄な商品分野や隣接分野の卸売業者との合併・提携をつうじて品揃えを拡充する(加工食品卸であれば酒類、冷凍食品、菓子、生鮮食品、さらには日用雑貨品など食品スーパーが取り扱っている商品のフルライン化)
      スーパーマーケット1店の加工食品売場は、金額ベースで約2割、生鮮が一番多くて半分以上を占めています。加工食品業者の戦略として、まず2割全部を自社で取る。さらに生鮮も取り込む、あるいは総菜も取り込んでいく。皆さんも危機感をお持ちだと思いますが、加工食品卸自身が生鮮を取り込んでいく実態が伺えます。
    • ロジスティクス能力の高度化
      単品単位の店舗別仕分けや異なる温度帯の商品を含めた一括納品など、大規模小売組織に対応した情報・物流システムを構築し、中間流通の立場からサプライチェーンの効率化を図る。
      単に規模だけ大きくなるのではなく、ロジスティクスの側面でも機能の高度化を図る動きが顕著になってきており、単品単位での店舗別仕分け、温度帯別商品の一括扱い等々、いかに小売業の店頭のニーズに沿った形で、商品を供給できるかが大きな課題になってきています。
    • リテイル・サポート能力の高度化
      商品の棚割り・陳列など売り場づくりの提案や、広告販売促進企画の提案を中心としたリテイル・サポート能力の高度化を図り、大規模小売組織に対する営業力を強化する。
      とりわけ、大手小売業に対して行われているリテールサポートとして注目すべきものは、単に納品するだけではなくて、商品の陳列・棚割提案など、クロスマーチャンダイジングと言われるさまざまな提案努力が行われていることです。
    • その他
      競合他社にないオリジナル商品の開発力の向上や、コストと利益の管理力の向上なども課題としてあげられる。
      メーカーと小売との間から排除されない、独自の機能領域をつくり上げていく取り組みが求められており、卸を通すことによってコストが下がる、流通が効率化される、スーパーの経営に役に立つ、メニュー提案ができるという存在になろうということが重要です。

Ⅳ.新市場の課題

  • (1)専門性を生かした調理法・メニュー提案──加工食品の研究も必要?加工食品メーカー・卸にはない発想で。スーパーの担当者はアイディアを待っている。
    加工食品を扱っている側は、生鮮の取扱いに不慣れであり、専門性を生かした形で提案できる余地は生鮮側にあると思うが、そのためには生鮮を扱っている卸、市場関係者自身も加工食品の研究をする必要があると思います。
  • (2)生鮮4品(青果・鮮魚・精肉・総菜)小売商の活性化──近隣型商店街の命運は生鮮小売商が握っている。複数の同業者が競争している商店街ほど活気がある。
    複数の小売店が生存できるような支援が市場からできると、商店街の活性化につながってくるし、それがまた市場にも跳ね返ってくるという関係にあると思いますから、是非1つの商店街に同一業種を複数育てるという視点をお持ちいただきたいと思います。
  • (3)安全・安心・健康・新鮮・・・等で生産者・市場関係者の「顔」がみえる市場ブランドの確立を。
    安全、安心、健康、新鮮といったことが市場の優位性を表すところですから、生産者、あるいは市場関係者の顔が見える市場ブランドづくりを進め、それが消費者との共通言語となるようなことも是非確立していただきたいと思います。
  • (4)まちづくりの観点に立った新市場の整備と築地市場の再整備を。例えば、新市場は「はとバスツアー」の名所になるような食のテーマパークに?
    築地は銀座の後背地としての立地と、界隈性・回遊性を生かした食の「秋葉原」に?新市場は広く開かれた場に是非してほしい。もちろん業務はきっちりできる体制にありながら、観光名所となるようなところにしてもらいたい。また築地は、銀座に近く非常に独特の地位にあるということから、この一帯に回遊性を持たせ、古き良きまちの界隈性、にぎわいを生かし、ここに来れば食の新しい情報が得られるというまちづくりができないものでしょうか。
2 質疑

(座長)
私が生鮮の方々に言いたいのは、生鮮の側から加工食品のほうに近づこうという努力をしない限り、生き延びられないことと、従来の卸売市場の考え方からどこまで脱却できるかということです。他の卸売業は、従来の業種別卸から脱却していくところだけが生き延びています。市場業界は、変化を認めていながら卸売市場のこういうところは変えたくないと言っていますが、法制度は残っていたとしても変わってしまいます。従来の延長で場所取りをやっていたら新しいコンセプトは無理です。これはゼロからやり直さなければいけないと思います。自らが変わるということはもう場内も場外も含めて、その中で卸売市場の機能を強めていくという考え方に立たないと難しいと感じました。

(委員)
今、3温度帯とかの話が出ましたが、今の築地市場というものは低温流通にも欠けますし、3温度帯どころか1つの温度帯の流通もままならない状態になっています。これは当然新しい市場に3温度帯のできるというものをもっていかなければならないと思います。

(事務局)
全体の状況は、先生方がお話しいただいたとおりだと思いますが、具体的に業界の皆さん方の中で、例えばうちは中抜きをされたというような例があれば、出していただけると議論がしやすいと思いますが。

(委員)
中抜きという現象はあるかもしれないと思います。そこで、卸売業者が機能強化していくということについては、結構難しい問題がたくさんあると思います。そういう意味で中抜きというのかあるいはシステム的にも変わっているのではないかと思います。また買う側の顧客サイドでの利便性、つまり市場を使う利便性ということも変化しているのではないかと思います。

(座長)
市場業界では小売の店頭を管理したりすることはありますか。

(委員)
小売業者に店頭をもっと見にきてくださいという話はありますが、僕らの企業体は小さく、また商品特性として開発してつくった商品ではないこと、日々扱う魚の状況が変わること、時間もないことから、毎日毎日見にいくというような頻度ではないです。

(座長)
お客側からの注文に対応していくことも多いわけですか。

(委員)
多いです。顧客サイドで商品が全く一本化しているわけではないですし、スーパー等の同じ店舗、同じチェーンの中でもお店ごとによって扱い品のグレードなどが違います。だから、最近、そういう要望が多いですから、リテールサポートとして、結構細かい注文にも応じています。

(座長)
だから利益が取れないのです。これは相手に対して提案できるぐらいにならないと、卸としての意味がないと思います。相手の仕事もシステマティックではないのですが、機能的に弱いと認められていますから、スーパーに対して茶坊主をさせられているのです。1社でやっていたらダメですというのが1つの見方かもしれないと思います。何らかの形で、加工食品も含め全部連携してやらないと、私はマグロのことしか知らないといっても通らないと思いますよ、これが1つの課題ではないかと思います。こういうことをもう少し考えていただきたいと思います。

(事務局)
ある外食チェーンの方の講演で、こういう話がありました。メニュー提案や調理方法というリテールサポートということを市場の皆さんが考えなくていい、市場の皆さん方は、あるメニューをつくりたいと思った時に、その素材を最適な温度管理と品質管理のもとで、一番ローコストで供給できるかどうか、その質問に答えてくれればいいとのことです。つまり、そこでのプロであってほしいということです。ですから、そういう路線で市場の機能というものを考えていらっしゃるのか。それともそういう能力の足りない末端の単独店の人たちには量販店の商品開発部に成り代わったような機能を果たしていく必要があると考えているのか。現実問題としてどうですか。

(委員)
マグロに関してはほとんどが刺身ということで、メニュー提案はあまりやっていません。ほんのわずかな料理メニューの提案ぐらいしかできないですし、大体もうほとんどやりつくされているのではないかと思います。僕もマグロだけじゃなくて、生鮮全品にわたって何でもできるような体制をこれから取っていきたいということは考えていますし、いろいろな企業との統合とか合併、そういうものも一応は視野に入れています。また中抜きの話ですが、今、量販店さんでも人件費をかけたくないということから、既にサクの状態になっているものやパック詰めのようなものが店頭に並べられています。僕らは丸で競ってやっていますので、中抜きというような状況はあると思います。

(座長)
仲卸と卸の機能分担関係については、法律問題とは別に、流れは恐らく垣根は崩れ去る方向に行くと思います。もう一つ、皆さんのご意見を聞きたいのですが、卸売業が変わっていくためには、差益ビジネスから付加価値を創出していくビジネスに変わり、物流もやっていくことが必要です。ところが、卸でおかしくなるのは差益ビジネスだけになっていることです。安いものを買って高く売るということをやっている限りつぶれていきます。だから、可能な限り加工食品の動きをとらえていき、一方で差益ビジネスから付加価値をどうつけていくのかという機能を考えていく必要があるのではないかと思います。

(委員)
先程の中抜きということは、私はどちらかというと業務筋のほうに納めているものであまり感じてはいません。しかし、これから新市場の問題点として、商品の鮮度保持が問題になってくると思います。そういう機能を強化していくことが重要であり、そのコストをいかに削減していくかということも考えなければならないと思います。

(委員)
量販店との取引をしていますと、価格が高い、安いだけの話になってしまいがちですが、今日の話の中にあった、メニューや調理法などの提案ということをしていかないと、現状の商売の中でも、やりづらくなってきている状況があります。今後ますますそういう形になっていくのかというように思います。そこで求められている部分、期待されている部分を1つ1つ取り入れ、新たな形に発展していかないと、新市場には何もつながらないのではないかと思います。

(座長)
顧客がどんなニーズを求めているのかを知り、そのことにどうやって対応していくのかということです。仲卸の機能は、顧客から注文を受けていろいろなことをやっていますが、それ以外の物流について、どのようなことをなさっているのですか。

(委員)
物流については今のところ、ほとんど市場に買い出しに来るという方法が採られており、そのほかは自己負担で地方発送などに対応しています。

(委員)
私のところは輸送業者で、地方発送がそもそもの始まりでした。それがいつの間にか、貨車で築地へ荷を運んでいた物が、トラック輸送となり、本来市場から出る荷物を陸送で扱っていた当社の仕事が、逆に入る荷物を運送する方が多くなってしまいました。

(座長)
お客からの注文は来ませんか。こういう商品を欲しいなどということですが。

(委員)
出荷業者の方からは商品が欲しいというより、売り先を紹介してくださいという話があります。

(座長)
サードパーティロジスティクスできるきっかけはそこにありますね。

(委員)
私は、この中抜きについて、特に水産に関しては中抜きされた云々ということよりも、流通のシステムが大きく変わったことで、その中で市場の存在価値というものが脇に追いやられているという感覚でとらえています。

(座長)
つまり、追いやられているから、もう1回市場を見直して、追いやられたものを取り返すためには、どうしたらいいのかという発想が必要だと思います。

(事務局)
確かにこの間ずっと末端の小売が大型化、チェーン化をしていって、単独店が減っています。それに対応するためには市場側もそういうオペレーションに変えないといけないと思います。しかし一方で、単独店をどう守っていくのか、あるいは業務筋と言われる料理飲食店をどうサポートできるのかという問題もあります。

(委員)
マグロに関しては、丸のものを仲卸さんが分配して、それぞれを店に納めるというのが本来の流れであったのですが、川上で既にサクの状態までにしてしまい、直接末端へ持っていくという動きが出ています。この規格化された加工食品は、必ずしも市場を通らなくても流通しているわけで、こういうものに流れて行くのが実態であると思います。当然卸売業者も自分のところで切り、細かくしたサクを仲卸さんに納めるという動きもしています。他がやっていることは自分もやっていかなければと思います。

(座長)
中小商店や中小の料理屋、レストランというところは結構多いのですか。

(委員)
仲卸業者は中小商店を守っていかなければならないと思っております。しかし、つぶれるところはつぶれる、残るところは残っていくという方向がますます強くなっていくのではないかと思います。

(座長)
近隣商店街の命運は生鮮小売商が担っています。まちづくりの観点等いろいろありますので、中小の鮮魚店をどうやって育成していったらいいかということを考えてほしいと思います。

(委員)
大手のスーパーあるいはチェーンストアは別格で、一仲卸だけで相手をすれば、そこから利益はおそらく出ないと思います。仲卸業者が利益を上げながら、小売業者の役にも立つ中小のスーパーというのがいるはずです。今後、そういうところを大事にしていく必要があります。

(座長)
そこに卸売機能が足りないということですね。

(委員)
地域の中小小売業というのは、将来の展望が見えないがゆえに投げやりになっています。そういう人たちに自信を持って商売をして、自分の後継者に責任を持って跡を継がせられるような展望があればいいと思います。

(座長)
今後も残っていくことが可能な小売業者をきちんと顧客として、仲卸さんも押さえていくことが必要です。
スペインの中小商店が、なぜ生き延びているのかと言いますと、スーパーマーケットの商品は投機型商品です。流通論でいう投機というのは生産段階で完成品をつくりますから効率化されます。もう一つは延期があります。なるべく消費者段階まで完成品をつくらないで、消費者段階で完成させることです。スペインでは、そういうことをすることによって、中小商店の差別化が図られています。一方、日本の中小商店はどうかと言いますと、スーパーでパック物が売れたから自分たちもパック物を売るということをしています。そうではなくて、確実に消費者の目の前で、消費者の好みでつくり上げるということが重要です。
もう一つ重要なことは品揃えです。日本の生鮮食料品は、品揃えに魅力がありません。スペインは時期に合わせて全部品揃えしています。消費者の目の前で切ったりします。だからスペインはそういう投機型と延期型を差別化しています。私はそのところの情報提供というのは、仲卸さんの重要な役割だと思います。

(委員)
やはり手づくりのよさを残して、目の前でやるというのが大切です。

(座長)
消費が多様化してくればくるほど、目の前で消費者の好みに合わせて魚を切ってあげる。これからはそういう時代です。

(事務局)
話しは変わりますが、脱サラで小料理屋を開こうという人に、新規開業をバックアップするようなシステムを市場でつくってはどうでしょうか。ビジネスになるかどうかは別としまして、業界同士でそんな話はされていますか。

(委員)
市場機能の中で顧客の開拓は大事なことであり、これから飲食店をやろうという方も結構いらっしゃいますが、そういう人たちに対する情報提供機能というのは現時点ではありません。どの店舗に行けば、その顧客が求めている理想の商品やノウハウが手に入るかという情報提供機能を市場の中に持たせ、一つのシステムとしてサポートしていくということは外にもないことですから、新市場として取り入れたら面白いと思います。

(座長)
なるほどね。これも今後の基本コンセプトの中で考えていただきたいと思います。

2.第5回懇談会の開催について

事務局より次回の懇談会内容と開催日程について各委員に説明

13時30分閉会

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