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第8回新市場基本コンセプト懇談会議事録〈要旨〉

(要旨)

日時:平成14年2月7日(木)

午後1時30分~

会場:築地市場 東京都第4会議室

1.議事次第

  1. 開会
  2. 議事

    議題 市場流通の存立基盤について

    • (全委員への質問)
      • 市場システムに問題があるのか? 築地のやり方・体質に問題があるのか?
      • 築地市場の強み(優位性)と弱み(劣っている点)について
    • <配布資料>
      資料1 第7回以降のコンセプト懇談会討論レジュメ
      (第7回懇談会配布資料)
      資料2 生産と川上の変化への新市場の対応
      (第7回懇談会配布資料:新市場基本コンセプト懇談会報告書のイメージ案抜粋)
      • 新市場マーケティング調査 調査結果報告書 _出荷者編_(案)
      • 築地市場水産物部物品移動概況
      • 新市場づくりの基本的な考え方
      • Global Standard Market(豊洲新市場づくりの検討素材)

    事務局より資料に基づき、本日の議事について説明

  3. 質疑・討論
    上原座長の司会進行により、資料に基づいて各委員による質疑・討論

(座長)
本日は、市場システムにどのような問題があるのかといった市場流通の存立基盤について進めていきたいと思いますが、これは次のビジネスモデルや新市場へのコンセプトにつながっていくものです。そこでまず、各委員からの市場流通の存立基盤に対する見解を述べていただきたいと思います。
各委員からの市場流通の存立基盤に対する見解を発表
各委員からの主な見解

  • 集荷分散について、品揃えの面では、大型ロット_小型ロットまで扱っているのが現状。市場にとってあらゆるロットをまかなうことが必要。
  • 現時点でも行っている輸入業務その他輸出業務については、今後は一層その傾向が強まってくるだろう。
  • 基本的には生鮮食料品というものは国民の基礎的食料品である。卸売市場は、その位置づけに立った公正、安定的かつ継続的、安全かつ効率的なシステムでなければならない。
  • 市場システムが水産物流通の多様化したニーズ全てを網羅していくことが不可能となってきたことと、築地市場に関わる多くの人たちが長い間規制の中にあって時代に適合できなくなったためである。そこで、新市場の建設を契機にハード面の整備はもちろん、そこに従事する人々の時代の変化に対応可能な意識改革が必要。
  • 多品種の品目を総合的に供給していくことも一つの安定供給ではないか。
  • 特に水産においては、出荷者が零細であると言われているので、迅速な決済は重要。また需要に見合った生産が困難なため、受託拒否と合わせて、確実な換金と市場に出荷された物の確実な販売が必要。
  • 青果においては、現状を取り巻く環境の変化の中で取扱量の減少、横ばいといったことは、今の築地市場のスペース、あるいは持っている設備から顧客対策、いわゆる新規顧客の誘致や取引の拡大ということは制限せざるを得ないという点からの影響が、大きく働いているように思われる。
  • 市場外流通との比較の中で、その取引の柔軟性、情報発信等々の内容について問われているが、基本的に問われているのは、実務面での消費者の要望を的確にとらえた流通になっているのか、あるいは提案型の流通になっているのか、あるいは情報発信の中心となっているのかといったような点になると思うが、その取り巻く環境の変化にいま一つ実務対応がおくれているということが前提にあり、規制緩和が進んで、こうした従来型の業務に対して改善が進んで、場人としての意識の変化が徹底すれば、卸売市場流通は先々の変化の中でも十分に対応できるものと考えている。
  • 築地市場の強み、弱みという点では、現状はハード面での問題が第一番ということで、健康面で注目されている、水産・青果の2部門を持つ市場であるといったことも優位性と考えて、水産・青果双方が協調した動きを活発化することが必要と考えられ、食というものへの提案、情報発信基地としての役割、そして、温度帯は違いますけれども、効率的な市場の外へ向けての物流網の整備、この2つの素材を活用した加工分野への取り組み、現状築地が持っている環境を生かすことが新しい卸売市場としての地位の確保ともなるのではないかと考えている。
  • 存立基盤として考えられるのは、水産と青果の総合市場として、築地は幅広い顧客層を抱えている。その需要に支えられて、幅広い品質の商品を販売できるという優位性があると思う。そういう面から、水産と青果がお互いに協力してやっていくということが非常に重要ではないか。
  • 青果としては、築地の存立基盤というのは、青果と水産で共通する顧客層を非常に多く持っているわけで、小売業、八百屋さんを除く他の部分、外食産業や料飲食店、スーパーについてもそうですが、密接な関係を持っている。お互いに機能を補完し合っている面があるのではないか。そのために、両者が行き来しやすいという現在のこういう配置、これが今の我々の商売にとっては非常にやりやすい形になっているというふうに感じております。
  • 青果では他の市場と異なって、業務用の高級野菜に対する高い評価をつけることができるし、卸売会社も、産地に対して築地用の特別の規格、等階級にしても築地のものと他市場との格差ができ、特殊な品目についてはそれだけの集荷力があると思う。
  • 東京都内にも市場数が非常に多く、特殊な野菜以外の一般野菜については、質の問題よりも量を基準として比較され、特に大田と築地を比較すれば、量が問題となると思う。
  • 流通のシステムについて、ハード面では古い市場ですから、やりにくい面があり、それに対しての設備投資も我々としてはできにくい部分がある。ただ、インターネットを含めたもの、あるいは無線等でインフラの整備を進めていく計画は我々も考えており、ハード面とともにソフト面においては、一昨年に市場法も改正されて、相対が中心になってきたということで、情報の共有化を推進して、産地情報、出荷情報、販売情報をオープンにして、戦略的に販売をしていくことが必要。
  • 築地市場が果たしている、市場外では担えない機能は、市場外流通では年間を通してほとんどすべての商品が全国のどこかで生産できる、いつでも何でもできるというような技術的な部分はあると思いますが、それをすべてを契約によってやっていくというコスト、またその支払いサイト、そういったものを賄っていくのは、市場外流通では難しい部分があるのではないか。そういう面で、市場にある程度スーパーが回帰してきているということは、市場外では担えない市場の品種の多さだろうと思う。
  • 多くの産地の品物を比較、評価するということは、現物を見なければできないし、安定した品質等、よいものを産地につくってもらえるような産地を育てていく必要があり、絶対的な評価に意味があるのではないか。
  • 築地は、日本最大の消費地市場であるということで、当然販路が多い。高級魚から大衆魚まで対応可能ということで、レベルで分けられるかどうかはわかりませんけれども、仮に築地のほうは5段階のレベルの魚が対応可能ということであれば、地方の市場は、せいぜい2段階ぐらいの魚しか対応できないのかと思う。
  • 出荷業者からすれば、ただ築地へ出せばどうにかしてもらえるという意識はまだまだ強く残っており、今後さらなる販路の拡大というものが、築地へ荷物を出しておくことによって、可能性としては残っていくということが、出荷業者から見た強みの1つなのではないかと思う。
  • 換金が安全であり、確実であり、迅速であるということだと思う。特に水産の出荷業者の方々は、個人商店や中小の零細企業がまだまだ多い部分があり、安全迅速な換金というものは、運転資金の面でも大きなメリットになると思う。
  • 「築地の市場」というブランドが持つ信頼性というものは、消費者から見た大きな強みではないかと思う。
  • 近年の経済状況の悪化に伴います消費の低下や、時代の流れによる食生活の変化、それに伴って当然、流通形態がかなり変わってきておりますので、市場に求められる役割というものが、今までの市場に対して求められていた役割とは、ここ数年の間に大きく変化し、その変化のスピードに対応し切れていないということが、現在の築地の最大の弱みではないかと思う。
  • 流通経路の効率化は経費を圧縮するしかないだろうと思う。そのためには、どうしても人手が必要な部分といったものをどういう形で簡素化できるのかということが、物流にかかわる経費の圧縮の面では一番のポイントになるのではないのかと思う。
  • 物流のEDI化によります全体的な経費圧縮ということで、荷物が入って、納品から最終的な生産までの一連の業務というのものを、ある程度オンライン化することよってペーパーレスする等、無駄を省いて、市場全体の中で、どこをどういうふうにすればもっと効率化できるのかといった中で、場内経費の削減を図っていかなければいけないのではないかと考えている。
  • 食材の提供というものは、今後考えなければいけないのではないか。現在、築地で取り扱われております特化された商品の多くは、やはり素材なのかなというふうに考えております。ただ、ほかの市場への転送物を除けば、市場外の流通の商品を見てもわかるとおり、今の社会的なニーズというのは、どちらかというと、一次加工的な食材に変わりつつあるのが現状ですので、この加工という付加価値を、市場という立場でどこまで対応していくのかによって、量販店の対応も含めて、今市場の外へ流れている、流通に乗っている商品の取り込みも可能になってくるのではないのかなと思う。
  • 競りについてということですが、最近の相対取引の増加や流通経路の変化、養殖業の普及等々、いろいろな事情の変化を見ますと、現行、朝1回の競りという形で行われておりますが、果たしてこれが現状にマッチしたものなのかどうか、今後やっていくに当たって、それでいいかどうかといったものは、一度検討してもいいのではないかと思っております。そこで今まである、いいものも悪いものも全部含め、今一度検討するという場が必要ではないか。
  • 品質の管理の遅れということで、食品を扱う場所ですので、当然HACCP等々の国際衛生基準というものを充足するのは不可欠ということになってきている。生鮮品を取り扱う市場において、確実な品質管理のための低温の保管施設、これは最低限必要な施設ということになってくると思う。公設の市場として、確実な品質管理、食品の衛生、安全性を確保するという義務がある以上は、やはり出荷者に対しても、消費者に対しても、最高レベルの安心感を与えられるようなそういった施設を持つというのが不可欠ではないか。
  • ハブ市場としての築地の絶対性、それによって規格統一化による魚の単価を下げることによっての魚食普及ということで、やはり築地というものが日本の市場の基幹市場になることによって、もし絶対性というものを持つことができれば、いろいろな面で規格統一というものができるのではないか。もしその辺の規格統一というものができれば、これは当然、トラックの積載効率が変わってくる部分があるかもしれない。

(座長)
各委員の皆さん、今、出された各委員の見解に対してご質問等ございませんか。

(委員)
情報が集中するとおっしゃっていますが、何が強みで築地に集中するのですか。

(委員)
荷が集まることにより、生鮮であればその日の評価というものが中心に相場が形成されます。輸入物については、商社その他、産地とのやりとり等から情報が入っています。

(委員)
荷が集まるから情報が集まる、情報が集まるから荷が集まるということですか。

(座長)
荷が集まるということは、築地の個別企業だけではなくて、良い顧客を持っているという市場全体の集客力があるということです。問題があるのはこの集客力がどの側面で切り崩されているのか、あるいは切り崩されて行っていないのかということです。各委員のお話を聞きますと、生鮮では切り崩されていないということです。問題となるのは、加工品と冷凍品においてはかなり市場を通じなくてもいいものが出てきています。

(委員)
長い間規制があったとおっしゃっているが、どのような規制がなくなったらいいとお考えですか。

(委員)
商物分離のことも含めて、商取引です。

(座長)
商物分離がなぜ、できないのかということです。それはせりとの関係もありますが、今、相対は商物分離になっているのですか。

(委員)
一部にはそれらしきものはありますが。

(座長)
商物分離が一番問題となるのは、競り中心との兼ね合いということもあり、問題なのは、競りも重要ですから、これは政府の委員会でも競りの重要性ということをうたわれている。
ただ、競りにつきましては、次の2点が重要な点です。恐らく、これから築地もそういうふうにして考えざるを得ないと思います。1つは競りだけが取引ではない。多様な取引が出てくる。競りは重要だけれども、最も競りに適する取引をしていく。けれども、そのほかについては多様な取引をしていく。まず第一に商物分離の問題は、多様な取引のときの商物分離をできる限り進めていく。そのときに、商物分離を阻害する要因となっているのは何なのか、これを考えていかざるを得ないということです。もう一つは競りを効率化するにはどうしたらいいのか。時間帯の問題等がありますが、この2つは大体皆さん共通の問題意識だと、そういうふうにして見ていいと思います。
卸と仲卸の垣根というものは問題になってはいないのですか。私たちが解決しなければならない問題は、卸と仲卸の機能分担が社会的に見て必要だというのであれば、あえて区分しなくても分離していくようになるはずです。そこの問題を解決しない限り、卸との間の垣根を明確にすべきだということは、論理として生きてくるのは、過去の延長としてしか見られないということになりかねません。だから、卸と仲卸の機能は当然分離するだろう。社会的に必要であれば、あえて規制しなくてもいいという可能性が出てくるということです。それに対して、分離していくためのきちっとしたロジックというのが必要と、こういうことだと思います。多様化したニーズに対応していくために、築地市場の強みがあるためには、集荷力が強みになるわけでしょう。集荷力が強みになるときに、物すごくいいお客を持っている仲卸が、必ずしも卸を通じて集荷しなくても、もう少しいい集荷ができるかもしれません。
もう一つは、仲卸が一番問題というのは、集団化すればいろんな集荷力が出てきます。そういうことも考えないとだめじゃないかなと思います。一つ問題として浮かび上がってくるのは、商物分離できることはやってしまうことです。ただし、商物分離をやるときに非常に注意しなければならないのは、築地市場だけで解決できない問題が出てきますから、築地市場で取引をして、物流部門はどこかに持っていくという問題も。それが商物分離です。築地市場だけの問題ではなくて、場外と市場内との連携をどうとるのか。そのときに新しくできる市場は、外とのどういう関係のシステムをつくるかという問題も出てくると思います。
また青果について、築地と大田との識別、差別性を青果として考えているのは、築地は青果と鮮魚がある。それ自身が青果にとっても大田との差別化、基本的にはそういうことでいいのですか。

(委員)
それは一つの面だと思います。大田に対抗するべく、特に買う側、生産者側、両方から言われることですけれども、大田にどちらかというと集中しがちになっている現状の中で、そこに対抗して、いい意味で競争しながらやっていけるところというと、築地というふうに考えるけれども、今の築地ではない、というのは双方からよく言われることです。その、今の築地ではない、というのは、現実に商売が云々とかそういうこと以前に、今の車の問題であるとかということに代表される部分を指して言われてしまうと思います。

(座長)

大田を充実して、全部大田に行ってしまったらどうなのですか。これは機能分担関係のことを言っています。つまり、私、築地の強みをどうするかというところでお聞きしたいのだけれども、青果が全部向こうに行ってしまうという側面があると思います。これはあって仕方がない。ということは、あれほど大田ができて、もうちょっと大田の青果での集積力を高めようとしたら、そっちへ行ったほうがいいかもしれない。青果がここに残っていて、築地がいいということは、青果と鮮魚が一緒にそろうという、そこがメリットとなるのですか。

(委員)
そうですね。

(委員)
市場外流通の評価ですが、市場外流通というのはひと頃は、要するに食物の中間流通で結節点としてメーンのものはやはり卸売市場だと思います。市場外流通はサブだということです。まして、市場外流通、競争力をつけるような行政というのはこれはけしからんと思います。こちらがお墨つきをいただいた流通だということです。バブル以前から、量販店や一部のチェーンなどでは場外、輸入物への傾斜が進んでいて、農産物も全農の集配センターが整備される、今はもうそういうことが常態化している状況の中で、卸売市場と並んで、市場外流通というものが非常に大きな、無視できない結節点としてあるだけではなくて、競争的共存のみならず、それが真っ向から脅威になる競争相手、こういう認識であるということで、むしろ卸売市場はちょっと角度を変えて見れば、競争しようと思ったら、いろいろ手かせ足かせがどうもあるという流通システムだということです。むしろ今は市場システムの現状を考えると、手かせ足かせになるようなものはできるだけ取っ払い、同じ土俵の上で勝負をさせてくれと、こういうような立論に、いろいろあるけれども基本はなっていくということなのでしょうか。また本当に大事な守らなければいけない問題で、衛生の問題等ないがしろにできない、全くフリーランスにいろんな問題が起こるということがありますから。

(座長)
私は、最初はそういう理解です。昔は場外流通といったらサブだったということです。これが今度は共存になって、今怖いのは場外のシステムが場内のシステムを包摂することすらあり得るということです。それに生きていくためには、競争力を強めるためには、今まで足かせ手かせになっているものを払いのけねばならない。私はそのつもりでいたのですけれども、だんだん話してみると、どうもそうじゃない側面もあるかもしれません。

(委員)
それは両面だと思います。中央卸売市場としては、公的な支援を使うということは、規制の部分は必ず残ります。これはあらゆる産業は規制があるわけですから、それをどう取り込んでいくのか。世の中の動きとしては自由競争という形になっていますけれども、完璧な自由競争というのはあり得ない話ですから、先程、基礎的な食糧と言いましたのは、これは国民の一番大事な部分ですから、そのための規制というのは必ず設けなければいけないよというのが根底にあります。

(座長)
もう一つ感じたのは、築地というのは、物すごい集散地です。他の中央卸売市場と違って、場外流通の怖さというのは、これだけ品揃えがあれば、それなりの強さを意識していますから、他の卸売市場と比べると場外流通との対抗力を持っています。だから、そういう意見が出る可能性もあります。ということは、築地というのは、いろいろ考えてみたのですが、卸売市場一般の中で議論できないところが随分あります。世界の築地等その辺どうですか。ご意見ありますか。

(事務局)
私ども、消費者というところから離れて、開設者という立場から公平に見させていただきますと、市場取引というのは、非常に微に入り細に入り、細かい法律、規則、条例、要項、そういうものに縛られて運営されてきたのが従来の形です。最近、規制緩和という中で、市場の中のルールは業界の皆さんがお互いに話し合って、そして、柔軟につくっていきましょうと。こういう仕組みでありますけれども、ただ、競りを一つとっても、どこまで競りをやったらいいのかと思います。競りには確かに競りの持っているよさはあると思います。そのスピードですとか、値決めの公正さとか。だけど、実際に社会が求めているものはそういうものだけなのだろうかというと、必ずしも、もっと競りというよりは早い時間からのまとまった取引、こういうことも非常に必要だということがあります。私が思いますには、いろんな業者の利害、あるいは対立、こういうものが輻輳していまして、この辺の仕切りが現実の場面としては非常に難しいということを痛感しております。

(座長)
現在これだけ荷が集まるわけで、少しぐらい不便なことがあってもかなりそうさいされているという気はします。ただ問題なのは、そういういい面に乗り過ぎていて、それでやってしまうと後から苦しくなる。またみんなが集まってくるメリットの中で、これはいい、いいとやっている間に、みずからの存立が落ち込んでいく。そういう危険性は築地にはあります。
けれども、今のところ非常に考えなければならないのは、築地のいいところをどうやって生かしていくのかということは重要だと思います。これは他の市場にはない側面を持っていると思います。
(4)生産と川上の変化への新市場の対応について、事務局より説明
(5)生産と川上の変化への新市場の対応に対する廣吉委員の見解

  • 問題は、物流コスト、物流問題と表裏一体の情報化の技術ソフトをどう取り込むかという問題に尽きると思っています。ハブ市場としての築地の絶対性というようなことがあって、これは築地の責任だけではないのですが、今、日本の流通コストは最低です。不況で、分相応に流通業界も下げなければいけないからだと思います。しかし、いろんな方法があるけれども、計測しても、我々の実感でも、通常あるべきものの倍以上はかかっていると思います。
    例えば、これは時間とのこともかかわってきますが、無駄な時間を費やしているということもあり、北海道の釧路から飛行機で持ってくるわけにはいかないから、10トントラックでフェリーでつなぎ、早くて3日売りで通常は4日売りです。ヤマト運輸の早いものを頼んだとしても、札幌から那覇まで翌日入りで、それも定額料金です。これは市場の人たちの責任でないものがあるにしても、全体としてそうなっています。また秋田から高速に乗ってここに来たら、10トン車で3万円かかる。だから今構造改革と言っていますが、これをどうするか、何も変わってないではないか。高速料金だけの責任ではないが、料金がすごく高く、どうしようもないくらいネックになっています。だから、港湾のほうで、ハブ港にどうするかといったら、もう日本はあきらめなければいけなくなり、だから今、釜山や香港、上海、韓国は仁川に大きいハブ港を造っています。
  • また魚の原料を海外に置いて、一度デリバリーをかけて日本に持ってきたほうが安いという状況がまだ相当あります。そういうこととの関係で言うと、農産物ということもあるけれども、産地の状況をつき合いの関係では築地の方々はつかんでいらっしゃいます。電話やFAXで毎日発注をかけているのですから。だけどトータルとしてみたら、本当の産地情報とはどうなのか、今、水産物のことだけについて言えば、魚、アジと言っても、今や同じマアジでも、セキアジもあればハナアジもあり、いろんなブランドがある。それぞれに産地側は押し出そうとして努力しているわけです。用途も、たたきや刺身、焼き魚、それからサイズがマメアジから始まってまちまちで、アジという魚は、ありがたいことにサイズに関係なく値がつく魚です。昔は捨てていた、マメアジというものは、かまぼこの原料にしたり。そういう情報というのが築地にないのです。今、取引している産地が約800ぐらいありますが、今は集約化が進んで、減っていますけれども、ある魚介類がいつ、どれくらい、どのサイズが取れるかというのが、前日ぐらいで情報が集約化して、欲しい情報だけ取れるという形になっていないと思います。同じアジでも、佐賀関のアジと、下関のアジと、博多のアジと、沼津のアジは、サイズも違うし漁法も、みんな違いますから、アジが沼津でこれだけ、今10トンぐらいのものがあって、結構安いのが入っている、そんなものだけで取引できないのです。魚は、非常に浜のほうから差別化が進んできた商品が非常に特徴を持っていますから、そんな情報をリアルタイムで、実は欲しいわけです。だから、天然で、どんなサイズで、鮮度や品質がどうで、安全性に関してはどうなのか、産地間がどんなものか。エンドユーザーから見て、それが欲しいものか、欲しくないものなのかという、そういうことを判断したいのです
  • 産地情報というのは、今、鮮度、品質というか、天然ものというか、人気がいいわけです。これはブームではないです。産地感覚に対する消費者のアクセスは非常に高まっている。だから、鮮度感のある産地情報が欲しいわけです。非常に個別性が高く、それをどうにかしてデータベースをつくって、必要な情報に仕立てるという工夫をやっているところがあるので、それはトータルとして築地はやらないとだめだと思う。
  • だから、産地がどんな努力をしているかということをあまりよく知らないと思います。今、小型魚等をできるだけとらない努力をしながら、サイズを決めてやっているという場所が幾つあるかご存じですか、浜の方が。知らないと思います。それは電話やFAXなど、つき合っている担当者は、そこの場面だけは知っているかもしれないということぐらいはあると思います。でも、本当に欲しいのは、ここはこんなに大きなマーケットですから、グローバルに押さえていないと、取り出せるようにしておかないといけないはずです。
  • グローバルですけれども、要するにSCMです。そういうシステムをつくり上げる。卸のネットワーク、本当に中核になっているかどうかという問題だと思います。現業ベースにしたら、加工品も全部含まれていたから、これ、今、年間で取扱量約70万トン、官庁統計で出している漁獲ベースに直すと、70万トンではないです。これは数百万トン、現業に直したら300万トン、400万トンオーダーだと思ったらいいです、だって、サケ、マス一つ、みんなドレスできて、歩どまりが5割とか4割ぐらいになっているわけだからね。だから非常に大きい中核になっている。だから、多少ウエートが下がったって、世界に占めるシェアは大きい。だから、地球の裏側の人は、やむを得ずそれしかないから、いろんなことを介して、日々ここの相場を見ているわけ。だれが送っているのか、別にして。時事通信を含めていろんなものがあるわけでしょう。それは今後とも変わらないと思います。
  • 水産物はボーダーレスで国境がないと思ったらいいと思います。今のところ事実上、世界の漁獲の3分の1ぐらいが日本に集まってくるということです。こんなことが、将来続くわけがない。しかし、その現物が、やはりトータルとしてエンドユーザーにつながっているということを何十年も続けてきているわけですから、それは簡単になくなったりしませんし、やはりこの魚食文化で、キーステーションは変わらないと思います。そういう意味でここを大事にして、それらしい体制を整えるという必要があるではないでしょうか。だから、卸売市場ネットワークの中核としてのSCMをどうやって取り込んでつくり上げるかという課題があると思います。
  • 物流については、産地市場は今、イカ一つ捨てられないわけです。イカ一つ捨てると逮捕されて、コラムをにぎわすような記事になったりします。廃棄物という一つの処理を考えて、誰がどういうふうにして、どの程度のコストを払っているのかというようなシステマチックなものになっているのかというようなことを考えると、コストを押し下げるような循環システムをつくり上げているかということも、大きな課題だと思います。東京国際空港は、循環水を使って大きくコストを下げています。また場内物流を含めて、輸送のシステムの変革の中心になって提案していくということ、それはできると思います。生鮮というのは変動性が高いし、不定形だし、季節性はあるし、むしろそういうものに対する消費者のニーズというのは、これは強まると考えています。非常に古いタイプの卸売市場でも、必要とされるけれども、今後ともその機能はなくならないと思います。さらに多機能性において評価されていくということが今後出てきますから、物流センター的な場面も必要になるし、デリバリーまで含めてやらなければならないと思います。築地はきめの細かいことの施設も必要であり、むしろ輸入ではなくて輸出の出荷地になって、韓国、大陸の方に、今、物流コスト安いですから、特に海外との関係でいえば出てきますし。いろんな機能性を持つ可能性がここには秘められているというように思っています。
  • 日本の遠洋漁業、沖合漁業、物的生産性の非常に高い漁業が全部崩壊してしまって、海外の方に移り、中国や他の国の輸入物に頼って、日本で残っている沿岸漁業は、差別化して、できるだけブランド化して、できるだけ品質のいいものという評価をエンドユーザーにいただいていこうというように、生産者がその努力を日々しているわけだから、それは、バブリーなものではなくて、評価された社会的な価値あるものとして、どのようにして消費市場で受けとめていただくかという問題ではないでしょうか。だからその上に対して、いかに効率的なものを扱える力があるかどうか、これが重要です。

(6) 新市場マーケティング調査 調査結果報告書 _出荷者編_(案)及び築地市場水産物部物品移動概況について

事務局より各委員に説明

2.第8回懇談会の開催について

事務局より次回の懇談会内容と開催日程について各委員に説明

午後3時50分閉会

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