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第13回新市場建設協議会議事録

平成20年12月4日(木)15:00~15:52
築地市場講堂

開会

(大里委員)
本日は、委員の皆様方にはお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。これより第13回新市場建設協議会を開催させていただきます。
会議に先立ちまして、前回の建設協議会から委員の交代がございましたので、新しい委員をご紹介させていただきます。
築地市場関連事業者等協議会会長代行、松本慶之助委員でございます。
続きまして、交代した東京都委員でございますが、中央卸売市場市場政策担当参事の大朏秀次でございます。
調整担当参事の横山宏でございます。
新市場担当参事の野口一紀でございます。
新市場建設調整担当部長の宮良眞でございます。
新市場建設技術担当参事の株木孝男でございます。
特命担当参事の黒川亨でございます。
築地市場場長の森本博行でございます。
福祉保健局市場衛生検査所長の小川誠一でございます。
よろしくお願いいたします。
次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。A4レジュメの1枚目が本協議会の次第及び配付資料の名称となっております。資料の構成でございますが、資料1、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議報告書のあらまし、資料2、「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の検討状況について、資料3、環境確保条例第117条に基づく調査の実施について、資料4-1、築地市場移転決定に至る経緯、資料4-2、現在地再整備が実現困難な理由となっております。
以上ですが、資料に落丁等はございませんでしょうか。

会長あいさつ

(大里委員)
それでは、会議に当たりまして、比留間会長より一言ごあいさつがございます。会長お願いいたします

(比留間会長)
本日は大変お忙しい中、第13回新市場建設協議会にご出席いただきまして大変ありがとうございます。
本協議会は、平成18年10月に基本設計相当を取りまとめて以来、約2年ぶりの開催となります。この間の大きな動きといたしまして、豊洲新市場予定地の土壌汚染の問題がございましたが、本年7月、専門家会議から土壌汚染対策を講じることで生鮮食料品を取り扱う市場用地として、食の安全・安心を十分に確保できる旨の提言をいただいてございます。この提言を受けまして、今年8月に設置いたしました技術会議におきまして、現在、実効性、工期、経費などの面で優れた対策の選定を行っているところでございます。今後、技術会議の結論に基づき、東京都としての土壌汚染対策計画を策定し、万全な対策を講じていく考えでございます。
また、現在地における再整備につきましては、今なお現在地再整備が可能であるというようなご意見が一部にもございますが、種地が確保できないこと、営業への深刻な影響が生じること、品質管理の高度化や新たな顧客ニーズに対応する施設整備の余地がないことから、現在地再整備は不可能でございます。築地市場の移転整備は、築地市場の将来を考え、長い年月をこれまでかけまして業界の皆様との間で再整備を含めてさまざまな案を検討し、議論を尽くして決定したものでございます。
このような現状や経緯を踏まえますと、先日、メディアセンターの予定地が有明地区にございますビッグサイトに変更されたという発表がございましたけれども、そもそも市場跡地へのメディアセンターの建設は市場の移転を前提として構想されたものでございまして、メディアセンターの構想にかかわらず、築地市場の移転整備が必要であることには変わりがないと考えております。
本日は、ただいま申し上げましたような内容につきまして、資料に基づきご報告を申し上げますので、どうぞ忌憚のないご意見をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

報告事項

(大里委員)
皆様におかれましては、円滑な会議運営のため携帯電話の電源をお切りくださいますようお願いいたします。また、本日は多数の方々にお越しいただいております。会議中の私語、発言等はお控えくださいますようお願いいたします。また、会議の運営を乱すような行為をされる方につきましては退出の場合もございます。あらかじめご承知おきください。
それでは、ここからの議事運営を比留間会長にお任せいたします。よろしくお願いいたします。

(比留間会長)
それでは、早速予定した内容に入りたいと思います。本日の協議会の報告事項といたしましては3件ございます。お手元に配付の資料のとおり、1点目は、「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の報告及び「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の検討状況について、2点目は、環境確保条例第117条に基づく調査の実施について、3点目は、その他といたしまして、現在地再整備ができない理由等についてでございます。これらの報告につきまして、順次説明をしてまいりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
まず、宮良委員から説明を申し上げます。

(宮良委員)
それでは、私から3件ご報告申し上げます。まず第1には、豊洲新市場予定地におけます土壌汚染対策の内容について専門家会議から提言を受けましたので、その内容をご報告申し上げます。
お手元にご配付させていただきました資料1をごらんください。資料1は、専門家会議の報告書の内容、調査の内容、結果、それから都がとるべき土壌汚染対策の内容について報告を受けたわけですが、その内容をわかりやすくパンフレットにまとめてあります。
資料1の1ページをおあけください。今後、東京都が豊洲新市場予定地における土壌汚染対策について、4名の先生方にお願いをしまして、昨年5月が第1回になりますが、専門家会議を開催しました。メンバーの方々は1ページの左下にございます。この中で有害物質、水質、土質、環境保健分野、それぞれの分野で豊富な知識と経験を有する専門家の方々でございます。昨年5月19日から第1回目を開催しまして今年7月26日まで、9回にわたり会議を開催しました。この中で、科学的な見地から検証・検討を進めてもらいまして、豊洲新市場予定地に1年間365日、70年間住み続けても健康への被害が出ず、食の安全・安心も確保できる対策をといった観点から検討を進めてまいりました。
3ページをお開きください。そういった対策を検討する上でどのような調査をしたかということでございます。3ページ、4ページにわたりまして二つの調査が書いてございます。一つは詳細調査と呼んでおりますが、敷地全体を10mの区画に分けて総数で4,122カ所になります、その地点における土壌と地下水の調査をしました。
どのような調査をしたかといいますのは、3ページの左下に図で示してございます。まず土壌ですが、東京ガスが工場を操業していたときの地盤から50cm下の土をとりまして分析しております。また、同じ地点で地下水をはかっております。地下水は、地下水面から水を通さない不透水層の間まで掘りまして、その中間点で地下水を採取し、分析をしております。分析の対象は、東京ガスが石炭を蒸し焼きにして都市ガスをつくっていました。その過程で発生することが予想されます7物質でございます。その物質名は、3ページの上段に書いてございますように、ベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムです。
詳細調査の結果、地下水、土壌で環境基準を超えた箇所、地下水で環境基準の10倍を超えた箇所で、深さ方向に1m間隔で土をとり、それぞれのところで分析をしております。地下水で環境基準を超え10倍以下のところの調査につきましては、現在、実施すべく契約の手続中でございます。調査につきましては、当該地区は土壌汚染対策法の適用になりませんが、調査内容は、土壌汚染対策法が決めます技術基準の内容、調査方法が書いてございますが、それと同等の内容になっています。
調査の結果、どのようなことがわかったかと申し上げますと、5ページをお開きください。今お話ししました詳細調査の結果でございます。平面的に汚染状況の把握をしてございます。調査結果4,122カ所で土壌または地下水で環境基準を超過した箇所1,475地点、全体の36%に当たります。また高濃度では、土壌の調査で環境基準の4万3,000倍のベンゼンが検出されております。また、860倍のシアン化合物、地下水からは1万倍のベンゼンがそれぞれ1カ所検出されました。1,000倍を目安にしてどのくらいのところで検出されているかと申し上げますと、土壌では2地点、地下水で13地点、それぞれの地点の箇所が5ページの下に図示してございます。
調査地点は今申し上げました4,122カ所、1,000倍以上、これは土壌と地下水ですが、合計しますと14カ所、1地点、土壌と地下水で1,000倍を超えたものが重複してございますから14地点になっています。これが赤い印で書いてあるところでございます。また、緑のところについては、100倍を目安にしますと41カ所です。
こういったことからどのようなことがわかるかと申し上げますと、敷地全体に高濃度汚染が広がっているわけではありません。濃度の高いところも局所的であることがわかっております。また、それぞれ土壌で環境基準を超えるところ、地下水で10倍以上のところを深さ方向に1mずつ土壌をとって調査をいたしました。これは絞り込み調査と呼んでおりますが、6ページにその結果を書いてございます。平面的には441地点ございます。それを深さ方向で1mずつ採取しますと、検体数で3,134検体になります。その3,134検体を調べてみますと、環境基準を超えるものは683検体、約22%になっております。これから言えますことは、平面的に汚染が検出された箇所を深さ方向に見ても、地上から深さ方向に全部が全部汚れているわけではありません。そういうことがはっきりしてきました。
こういった汚染状況を踏まえて、専門家会議でどういった対策を考えていただいたかというのが7ページからございます。専門家会議が提案する対策ですが、対策のポイントは二つあります。土壌は環境基準以下に処理しましょう、地下水についても環境基準以下の浄化を目指しましょう、そういうことが二つの大きなポイントです。
中身を少しお話し申し上げますと、土壌汚染対策、要は土壌の中に含まれている汚染物質の処理のことです。土壌汚染対策①ガス工場操業時の地盤面の下2mを掘り、きれいな土壌と入れ替えます。それを図示したのが8ページの上段、豊洲新市場予定地の断面図の①になります。次に、土壌汚染対策の②その上に厚さ2.5mのきれいな土壌を盛っていきます。8ページの上の図面に対比しますと、②きれいな土を盛ります、そこが該当しているところです。さらに③ガス工場操業時の地盤面の下2mより下の土壌につきましても、環境基準を超える物質があったところは全部きれいに取り除きます、これが土壌の対策です。
次に、地下水の対策ですが、建物建設予定地とそれ以外のところに分けてあります。建物建設予定地は、建物が建ちますと床が張られますから、後でいろいろ対策ができなくなります。そういった観点から、建物建設地は、建設後に改めて対策を行うことが困難であるため、建物を建設する前に環境基準以下にいたします。それ以外のところは、排水基準以下にします。排水基準といいますのは、環境基準の10倍であれば下水道、あるいは公共水域に排水できます。まずは排水基準以下にしまして、将来的に環境基準以下にする、そういうことを目指します。また、地下水管理を行い、地下水位を一定に保つ、そういった方策も考えています。そのためには、地下水を流出入しないように、宅地の周り、新市場予定地の周りに遮水壁を打ったり、地下水位を一定にしまして、地下水が上昇しないように砕石層を敷いてそれを防止する、水位が上昇した場合にはくみ上げて水質をチェックして、それで下水に流す、そういうことを考えております。
これらの対策につきましては、土壌汚染対策法にはかかりませんが、技術的な基準と対比してみますと、地下水の飲用、要するに飲むことはしない前提で考えますと、土壌汚染対策法では、土あるいはアスファルト、それからコンクリートで封じ込める、そういう対策があります。具体的に申し上げますと、土で盛る場合は50cm以上の厚さ、アスファルトを舗装するとすれば3cm以上、コンクリートであれば10cm以上、そういう対策になります。今お話し申し上げました対策に比べれば、何重にも手厚い対策、そういう内容になってございます。
次に、9ページをお開きください。今申し上げましたポイントは、土壌中の汚染物質は全部取り除きます、それから地下水も浄化します、こういった対策をとりますと環境基準を上回る汚染物質はなくなります。ただし、地下水については、建物建設地以外で環境基準以下に浄化するタイムラグがございますが、その間でも専門家会議では、ベンゼン、シアンなどが気化して大気中に出てきた場合でも、大気の環境基準を下回り、問題はないということを検証していただいております。
さらに、10ページをごらんください。こういった対策を実施し、市場を建設し、市場開場後も継続的にモニタリングを実施すべきだといったことも提言の中でいただいております。チェックする一つは、地下水位、水質は定期的に監視をしましょう。それからいろいろ土木工事、盛土や舗装をします。そういった状況もチェックをしましょう、そういった地下水位のモニタリング結果、それから点検の結果、舗装の状況など、そういったデータを都と市場事業者の皆さん、それから学識経験者から成る協議会を設置して、今お話し申し上げましたデータを共有の上、安全性を確認していく、そういうことも提言の中にうたわれております。
以上が、今年7月26日になりますが、専門家会議からいただいた提言の内容でございます。
続きまして、そうした専門家会議の提言を受け、土壌汚染対策を具体化していく必要があります。資料2をごらんください。豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議の検討状況についてでございます。
今お話し申し上げました専門家会議の提言を具体化していく際に、いろいろ具体的に技術工法が必要になります。こういった土壌汚染対策工事において、いろいろ使う技術工法について、専門的見地から評価検証をするために技術会議を設置しました。
委員の構成ですが、資料2の左上をごらんください。座長にお願いしておりますのは原島文雄氏、東京電機大学未来科学部の教授をなさっている方です。そのほかに学識経験者6名、合計で7名の方々にお願いしております。委員のメンバー構成でございますけれども、環境、土木、情報処理、プロジェクトマネジメントとあります。環境とありますのは、やはり汚染物質の処理、処分がございますので、環境分野で2名、また土木と申し上げますのは、やはり土の掘削、埋め戻し、あるいは耐震対策がございます。土木から2名。それから、情報処理でございます。これは地下水位を一定にして新市場予定地全域を監視していく、そういうシステムづくりが必要になりますので、情報処理の分野から1名。それから、プロジェクトマネジメントでございますが、それぞれの専門家の方々に評価検証していただくわけですが、対策の合理性、あるいは経済性、そういった側面からもチェックをしていただこうと。そういう趣旨で委員の方にそれぞれお願いしております。
また、都の土壌汚染対策を取りまとめるに当たりまして、新技術・新工法を公募いたしました。寄せられた提案は技術会議で評価・検証し、都の土壌汚染対策に生かしていこうと考えてございます。公募の期間ですが、今年8月18日から9月26日まで公募を実施しました。公募の際の条件としましては、専門家会議で、今お話し申し上げましたが、土壌汚染対策の内容を満たしている、それは当然満たしてほしいところ、それから土壌汚染物質を確実に処分、浄化する、そういった目的が達せられる具体的な技術工法であること、それから原則としてやはり環境面にいろいろ配慮しまして、汚染物質の処理・処分は都域内で行う、そういった前提で公募した結果ですが、提案事業者としては合計120の事業者、提案数としましては、総計で221件、汚染土壌・汚染地下水対策174件、液状化対策25件、地下水管理システム14件、これら全部を含む対策としては8件ございました。
いろいろ提案いただきましたが、検討状況でございます。評価・検証するに当たりまして、会議と委員名は非公開としております。といいますのは、各委員は公正・中立の立場で評価・検証をしていただく必要があります。その際、外部からいろいろ干渉を受けず審議をやっていただきたいと。もう一つは、事業者が研究開発したいろいろな技術工法を出していただいております。これが流出しないように、事業者さんへの配慮が必要であろうと。ただし、会議の状況をお知らせするために、それぞれの会議開催後には会議の概要を公開しております。また、会議として審議が終了した段階では、委員名、会議録などを公開していく予定でございます。
これまで、8月15日を第1回としまして、11月27日まで、7回開催してございます。
主な検討内容でございますが、いろいろな土木・汚染物質処理がありますけれども、それぞれ評価するに当たって、いろいろな視点が必要です。これはどういうふうに考えていこうかと、そういったものを確認しております。また、公募提案がいろいろ来ておりますが、それは各専門の先生方にお願いして、割り振りまして、各委員の皆さんがその提案の内容を評価し、さらに優れた提案をピックアップしてもらっております。
現在は、委員の皆さんが推奨してくれた技術を組み合わせまして、組み合わせと申しますのは、まず地下水の流出を防ぐための遮水壁の設置、それから汚染土壌を処理・処分しなければなりません。液状化対策をやって、それから土を埋め戻し、地下水全体を管理していくと、そういった一連の全体の汚染土壌対策を網羅する複数案を策定いたしまして、その内容を現在精査している状況でございます。今後はこういった対策を、整合性、経済性、工期などを評価の基準としまして、豊洲に最適な技術・工法の選定を進めていく予定でございます。
引き続きまして、資料3をごらんください。環境確保条例第117条に基づく調査の実施についてでございます。資料1の6ページをあわせて見ていただければと思います。専門家会議の対策の中で、東京ガス工場操業時の地盤面から2mの深さの土を全部入れ替えるとご説明をしました。そういった行為が東京都の環境確保条例第117条、これは3,000平米以上の土地を改変する場合、土壌と地下水の汚染状況を調査する必要がございます。調査の内容は、表層の土壌、東京ガス操業時の地盤面下50cmで土をとります。そういった表層の土壌の調査、それから地下水の調査、それぞれで環境基準を超える物質が出たところ、そこの部分については深さ方向に1m間隔で土を採取して調査をするといったことが必要になります。これまで土壌汚染対策の検討に必要になる、先ほど詳細調査と絞り込み調査と申し上げましたが、その内容は終わっています。それに加えまして、この条例が求めます調査を充足するために、地下水で環境基準を超えて10倍までのところ、その場所を深さ方向に1mずつ土をとりまして調査分析をいたします。
その内容につきましては、あらまし6ページの左下の円グラフをごらんください。黄色く着色しているところが今ご説明申し上げています約1,000カ所の調査の対象のところになります。そのほかのことについては、今お話ししましたように実施済みです。検体数、深さ方向に1検体とると7,500検体ぐらいございます。
調査スケジュールでございますが、今、契約の手続中でありまして、21年1月下旬に現地に調査着手、8月末には調査結果を取りまとめて公表、そういうスケジュールで考えております。
調査結果の対応でございますが、こういった調査をした結果、土壌汚染が確認された場合でも、専門家会議が提言した内容、土壌、環境基準を超える汚染物質をすべて除去するから問題はないといったことを提言の中でもいただいております。
以上、1から3までご説明しました。以上でございます。

(比留間会長)
ただいまご説明申し上げました内容につきまして、何かご質問あるいはご意見がございましたら、ご発言をお願いいたします。

(伊藤(宏)委員)
一部で不透水層の定義についての疑義が報道されている経緯があるのですが、この点についての確認をさせていただけますでしょうか。今まで私どもが認識していた不透水層というもので大丈夫かどうか。

(比留間会長)
ちょっと科学的な内容にわたりますけれども、できる限りわかりやすく説明をお願いします。

(宮良委員)
不透水層の性能といいますか、定義については、土壌汚染対策法の中で定めがございます。それによりますと、透水係数と言っておりますが、それが1×10-5で、かつ厚さが5m以上という定めがあります。それが土壌汚染対策法の定めによる不透水層の定義でございます。
豊洲新市場予定地における不透水層のことですけれども、平成18年、土質ボーリング調査を実施しました。また、過去に建設局あるいは水道局、いろいろ調査していますけれども、そういった土層、土質、地層を調べてみますと、豊洲新市場予定地の地層の状況ですが、盛土、表層土がありまして、その下に有楽町層という粘土層があります。そこの透水係数を調べますと、数値的には10-6から10-7の範囲にあると。今度は厚さですが、厚さについても2mから20mございます。平均しますと10-7の数値になりまして、土壌汚染対策法の透水係数と比較しますと、透水係数であれば26倍水を通しにくい、厚さについても、土壌汚染対策法に定められる不透水性と同等の性能、それを比べますと厚さはどのぐらいでいいかというと、約19センチで良いと。ただ実際を見ますと、厚さは2mから20mありますから、それは十分であると。そういったデータにつきましては、専門家会議の中に提示いたしまして、専門家会議の中には関東地方の土質、地層に詳しい方がいらっしゃいます。専門家会議の全体の見解としましては、豊洲新市場予定地で粘土層である有楽町層は、不透水性は高いという結論をいただいています。

(比留間会長)
かなり技術的なお話になりましたけれども、要は不透水層の定義が土壌汚染対策法の中に定められている、それが数値として定められている。それを現実の豊洲の土地にある不透水層である有楽町層と比較すると、有楽町層は法で定める基準の26倍の不透水層としての性能を有していると。これが専門家会議の実際のデータをもとにしての見解であるということでございます。
ほかにご発言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、また返っていただいても結構でございますので、次の内容に進ませていただきます。
次に、現在地再整備ができない理由についてなどでございますが、野口委員、説明をお願いします

(野口委員)
資料4-1、4-2、それぞれにつきましてご説明させていただきます。冒頭、会長からあいさつの中でございましたけれども、現在地再整備の問題につきましては、新市場予定地の土壌汚染問題を契機といたしまして、都議会におきましても取り上げられまして、関心が高いこともございまして、この間の過去の経緯も含めまして、都としての考え方を改めてご説明させていただきたいと思います。
まず初めに、資料4-1、築地市場移転決定に至る経緯についてからでございます。こちらの資料につきましては、昭和30年代から平成13年に至るまで、約40年間の主な動きを左ページから右ページへと時系列に整理してございます。
まず左上に記してございますように、もともとこの問題につきましては、取扱量や車両台数の増加を背景として、当時の築地市場と神田市場、神田は廃止になって大田市場へと移ったわけでございますが、この両市場の狭隘・過密化の解消を図る目的のために、これまでさまざまな取り組みが進められてきております。
具体的にその大きな動きの一つといたしましては、左上から二つ目の見出し、「◎」のところでございます。築地市場の機能分散の計画から始まっております。こちらにつきましては、昭和40年後半から50年後半にかけまして、新たに総合市場として整備いたします大田市場の建設計画と相まりまして、大田への機能分散が行えないかどうかといった検討が行われてまいりました。
しかし、当時、次の見出しになりますが、業界内の意見の不一致とありますが、都からの移転に向けた統一見解の要請がそのときにございまして、これに対して業界では全面移転と全面再整備に意見が大きく分かれ、特に水産業界からの強い反対もございまして進まなかった経緯がございます。
その後、現在地再整備へと動くことになってまいります。昭和61年に東京都といたしまして現在地再整備を決定いたしまして、仮移転先の確保ができなかったことから、工事の着手に当たりましては昭和61年から昭和62年にかけまして、現在地における再整備の基本方針について協議を行いまして、水産と青果の業界協議を踏まえ、従来のエリア区分にこだわらない立体配置を答申されたと。
その上で、昭和63年に水産物を1階、青果物を2階、屋上に駐車場を配置するといった立体構造の基本計画が策定されたわけでございます。当時の基本設計におきましては、工期14年、総工費2,380億円としまして、平成3年から仮設駐車場、仮設の卸売場、搬入路等を含めまして、そういった準備工事を始めまして、当時これらの施設整備に要した費用は全体で約400億円となっております。しかし、この再整備工事後、さまざまな問題が顕在化いたしまして行き詰まり、最終的に卸、仲卸売場といった基幹施設の工事に着手する前に中断いたしました。
この主な理由が左下に簡単に記してございますが、具体的に補足して説明を申し上げますと、①工期の遅れとありますが、こちらにつきましては当時、いざ土地を掘削して掘り起こすと、予想外の地下埋設物がありまして、その撤去、そして設備の切り回し、建物の解体等にかなり時間を要し、工期に大幅な遅れが生じたこと、②整備費の増嵩と書いてありますが、こちらは資材高や工事の困難性等によって建設費が3,400億円に上ったこと、さらに③営業を継続しながら施設の仮移転を繰り返して工事を進めていかざるを得ない、そういう状況のため、買荷保管所等の仮移転先をはじめ、業界調整がかなり難航したことなどが要因でございます。
次に、右ページをごらんいただきたいと思います。当時、こうした状況下で工事完成の将来見通しがなかなか立たないこと、また経費も大幅に増加して財源の確保が難しい状況になったことから、平成8年に基本計画を見直して、施設を立体から平面配置に変更しております。しかし、必要な施設規模が確保できないこと、分割工事による営業への支障、さらに工事の長期化といった懸念が拭えないことから、平成10年に業界6団体から臨海部への移転の可能性について調査・検討の要望が出された経緯がございます。
このことにつきまして、都では現時点で移転可能性の見極めは困難なため、業界団体の一致した意思の確認を求めましたところ、移転推進と現在地再整備に回答が割れましたことから、平成11年に再整備案を中心に協議して、並行して将来の立地のあり方等について検討が行われたわけでございます。しかし、都及び業界から提案されたいずれの案も合意に至らず、現在地再整備の再検討の結果、メリットとして市場周辺の都市機能が生かされる、交通の利便性が高い、市場の歴史・伝統が継承される、そういったことが挙げられるものの、その一方で工事期間が20年以上にわたるなど多くの問題を抱えていることが明らかにされたわけでございます。ここの問題点等につきましては、次の資料で補足してご説明させていただきます。
その後、業界委員から早期移転に向けた要望等ございまして、最終的には現在地再整備は困難であり、移転整備へと方向転換すべきとの意見集約がされ、平成13年の卸売市場整備計画で築地市場の豊洲地区への移転が決定されたと。こうしたさまざまな経過をたどり今日に至っているわけでございます。
次に、資料4-2、現在地再整備が実現困難な理由をごらんいただきたいと思います。左側の1、過去の再整備工事中断の経緯、2として種地確保の困難性がございますが、当時も現在も共通して言えることは、ローリング工事を行うためのまとまった空地、つまり種地を確保できないことでございます。1の中断した経緯につきましては、さきの資料で、少し簡単でしたがご説明させていただきましたので割愛させていただきますが、2の種地につきましては、現在に置きかえても、広さとしては約4.5ha、この中には仮設建物の建築面積2ha、そして作業スペース、これは建築資材の置き場であったり、大型クレーンなどの作業スペースが2ha、工事用搬入路が約0.5ha、そういったものが必要となってまいります。さらに種地の場所も、市場の営業活動というものを考えますと、場外または隣接地に必要になってまいります。また、仮に再整備を実施した場合、長期にわたる困難な工事となるため、さまざまな問題点が見出されてきます。
右側の3をごらんいただきたいと思います。
まず①の工事期間でございますけれども、営業を継続しながらの工事のため長期化が避けられず、全体のローリング工事が完了する前に最初に整備を行った施設の補修が必要な年数に差しかかります。再整備完了後も継続して工事を行っていくことになります。
②でございますが、建設費用も、立体構造となりまして、仮設施設の建設、そして切り回し工事などによりまして全体経費の増嵩が見込まれます。
③営業活動への影響でございますが、過去の工事が中断した経緯からも、これが最も大きな問題と考えざるを得ません。一つは、工事用・営業用車両の錯綜による相当な交通混雑の発生、それと同時に、2点目になりますが、駐車場の一層の不足が生じてまいります。3点目は、工事施工に伴い店舗位置や荷の搬送経路の頻繁な変更を余儀なくされることによる混乱、4点目は、物流動線が制約されるため出荷者、買出人への影響が大きく、市場離れの懸念がある。そして5、6点目として、店舗移転の繰り返しや工区ごとの分割工事となるため、それぞれの整備時期により新店舗と旧店舗の格差が生じ、最後に取り残された店舗は著しく営業上不利益を被ることになりかねない、そういったことがございます。
④アスベスト対策でございますが、現状では固定されているため問題はありませんけれども、この対策工事を行う場合は、基準が過去に比べて相当厳しくなっております。こういったことから、飛散防止のため密閉隔離等をした上で、生鮮品を扱う特殊性からも周囲に緩衝帯を設けるなどして工事区域を広くとる必要がございます。また、売場等でいざ工事を始めた場合、買出人の方々への利用影響が当然出てくるわけでございまして、対策工事に伴う期間の延長とあわせて、営業上、より深刻な影響を与えかねないことが見込まれます。
そして⑤完成後の市場機能でございますが、新たな機能配備が制約されまして、オープンスペースも確保できないこと、将来の流通環境への対応、そういった発展余地が確保できない。特に流通環境の、温度管理をはじめとした徹底した衛生管理、加工パッケージ施設、荷さばき施設、待機駐車場、そういったものは現在の築地の中でも足りない部分でございますが、そういった顧客から求められるニーズにきちんと対応できるのかどうか、そういった問題が出ております。当然、工事期間が長期化すれば、そういったことへの対応は遅れることになってまいります。
⑥財政面でございますが、工事の試算をもとに、約3,000億円の整備費用を市場会計が保有する資金では賄うことができません。
そして⑦その他でございますが、そのほかに影響を及ぼす要因として、仮に地下の利用といったものや掘削を伴う場合に、条例に基づく土壌調査はこの築地においても必要な対象となってまいります。また、環状2号線の整備や隅田川のスーパー堤防事業といったものを将来的に行う必要性が出てまいりますので、敷地面積がさらに制約されることになってまいります。また、地下にも、当時と全く違いますのは地下鉄大江戸線のトンネルが通っております。また共同溝であるとか排水本管、そういったさまざまな地下構造物の事情等も懸念される材料となってまいります。
このように現在地再整備につきましては、さきの経緯でご説明した都心部に位置し、利便性が高いなどのメリットはありますが、工事施工、その間の営業活動への支障、そういったものを総合的に考えていきますとデメリットとして指摘されるものが多く、都としては現在地再整備は現実的ではなくて、実施は極めて困難であり、不可能と考えざるを得ないということでございます。
以上で、簡単ですが説明を終わらせていただきます

(比留間会長)
それでは、ただいまご説明した内容につきまして、ご質問、ご意見がございましたらご発言をお願いいたします。よろしゅうございますか。
それで、ただいまの件については特段ご質問もないようでございますので、全体を通して何かご意見、ご発言がありましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。
それでは、予定の時間に近くなってまいりましたけれども、これをもちまして第13回新市場建設協議会を閉会とさせていただきたいと思いますが、本日準備いたしました資料は公開の資料でございますので、ぜひご活用いただきながら、さまざまな面で業界の中で、あるいはいろいろな場所で検討の素材にしていただければと考えております。
冒頭のごあいさつで申し上げましたけれども、現在、技術会議で具体的な土壌汚染対策の工法を検討中でございますが、これから築地の移転整備のプロジェクトの進捗につきまして、ぜひ業界の皆様とこれからも密接に協議をしながら、意見交換をしながら進めさせていただきたいと考えておりますので、ぜひご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はどうもありがとうございました。

閉会

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